神道の逆襲
- 作者: 菅野覚明
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2001/06/20
- メディア: 新書
- 購入: 5人 クリック: 48回
- この商品を含むブログ (48件) を見る
各章のタイトルは以下のようになっています。
第一章 神さまがやって来た
第二章 神道教説の発生
第三章 神国日本
第四章 正直の頭に神やどる
第五章 我祭る、ゆえに我あり
第六章 神儒一致の神道
第七章 神道の宗源は土金にあり
第八章 危ない私と日本
第九章 人はなぜ泣くのか
第十章 魂の行方
結び 神さまの現在
タイトルを見てもそれだけでは内容が推察されないかと思って、私なりの補足を以下に示します。
第一章 神さまがやってきた
- は、神さまはお客様、というテーゼをかかげて、日常の世界から日本の神々の世界に読者を導き入れます。
第二章 神道教説の発生
第三章 神国日本
- は、タイトルからだけですと、戦争中の自国優越主義を連想しがちですが、「神国」の元もとの意味はそうではないことを述べます。ここで叙述されているのは北畠親房の思想です。
第四章 正直の頭に神やどる
- は、第二章、第三章の歴史的な叙述から少し離れ、神道でいう「正直」ということの考察です。ここには花咲爺さんとシロの話が登場します。
第五章 我祭る、ゆえに我あり
第六章 神儒一致の神道
第七章 神道の宗源は土金にあり
- は前章に続き、垂加神道の教説の説明です。
第八章 危ない私と日本
- は賀茂真淵の思想の話です。
第九章 人はなぜ泣くのか
- は本居宣長の思想の話です。
第十章 魂の行方
- は平田篤胤の思想の話です。
結び 神さまの現在
- は再び現在に戻ってきて日本の神々のありようを論じています。
随所にハッとする記述がなされていてとても面白いと思いました。例えば、死後の世界の有無について尋ねられた時の本居宣長の言葉が「神道に安心というふことなし」だったそうで、それは死後のことは分からない、という意味だそうです。それを言っては宗教としては成り立たないのに、よくそんな答をしたものだ(そこまで「まこと」を貫いたのだ)と、と感心しました。
私の好きな本の一つです。