【定理13a】

補足説明

以下は、「搬送時間ありG/G/1のサイクルタイム定理」で述べた定理の証明の一部です。証明は、「【定理10a】」から始まっています。

【定理13a】:同時に2ロット以上が処理中になることがなく、かつ、待ちロットが1ロット以上あるのに装置が空いていることがない、FIFOでないガントチャートは、ロットの到着時刻を互いに交換することによってFIFOのガントチャートに変換することが出来る。

これについても例を用いて説明したいと思います。例として【定理12a】で示した図3を取り上げます。

  • 図3

しかし、この図のままでは少し分かりづらいので、ロットの到着順序にロットを並び替えます。

  • 図4

この図で、ロット3とロット4の関係がFIFOをやぶっているのでした。そこで、ロット3とロット4の到着時間を交換します。すると以下のようになります。

  • 図5

これでFIFOのガントチャートになりました。もう少し分かりやすくするために、ロット3とロット4を並び替えます。すると以下のようになります。

  • 図6

(証明)

  • 同時に2ロット以上が処理中になることはないので、次の処理に選ばれるロットは1ロットだけである。
  • FIFOをやぶることがある場合は、選択されるべきロットが、(選択の時刻に現れたロットを含めて)2ロット以上なければ不可能である。ということはそれ以前に少なくとも1つの待ちロットが存在している。待ちロットが1ロット以上あるのに装置が空いていることがないので、ロット選択の直前は、装置は処理中である。よって、ロット選択は必ず処理終了時に起きる。
  • 上記のようなロット選択時に、全ての待ちロットの到着時刻を調べ、その中で最も早い到着時刻を持つロットをAとする。一方、ガントチャート上で次に処理するロットをBとする。AとBが異なる場合、Aの到着時刻とBの到着時刻を交換する。
  • 上記の作業を、全てのロット選択時について行えば、常に最も早い到着時刻を持つロットを選択することになるので、FIFOである。

(証明終わり)
この【定理13a】は「搬送時間ありG/G/1のサイクルタイム定理(再掲)」で使用されます。