「搬送時間ありG/G/1のサイクルタイム定理(再掲)」で搬送時間がある場合の待ち行列のサイクルタイムを求める方法を、搬送時間が変動し、かつ、G/G/1、の場合まで拡張することが出来ました。さらに、拡張して、G/G/mの場合、つまりステーションが複数台の装置からなる場合を扱うことが出来るようになれば実用上の適用範囲が拡がります。
搬送時間のあるG/G/1のサイクルタイムを求める問題を、(搬送時間のない)通常のG/G/1待ち行列のサイクルタイムを求める問題に帰着することが出来たように、搬送時間のあるG/G/mのサイクルタイムを求める問題を、(搬送時間のない)通常のG/G/m待ち行列のサイクルタイムを求める問題に帰着することが出来るのであれば便利だと思います。
しかしそれは、うまくいかないようです。
そのことを見るために、搬送時間のない、しかし、ロードポートの存在する、G/G/mモデルを考察します。例えば、図のようなの装置2台からなるステーションを考えます。
すると、以下のような状態になる可能性が考えられます。
この時ロットbは、ロットaの処理終了を装置1のロードポート上で待っています。しかしこの時装置2は空いています。もし、下図のように、ロードポートがなくて、2台の装置の直前に無限大のバッファがある、通常のG/G/mモデルであれば、
ロットbは、装置1で待つことなく、装置2へ行って処理されることになるでしょう。
よって、ロードポートがある場合は、通常のG/G/mの場合より待ち時間が長いことになります。よってサイクルタイムも長いことになります。それゆえ、搬送時間のあるG/G/mのサイクルタイムを求める問題を、通常のG/G/m待ち行列のサイクルタイムを求める問題に直接帰着させることは出来ません。
「専用バッファと共用バッファの組合せ」で考察を続けます。