装置処理時間が一定ならばトラップされたロットはない(1)

『トラップされている』ということ」で出てきたスーパーのレジにお客さんが並んでいるアナロジーをここで持ち出します。
もし、どのレジでも全てのお客さんに対してレジの作業が一定時間で終了するとすれば、トラップされたお客さんが存在するでしょうか? レジのどの列も同じスピードで進んでいくので、トラップされたお客さんはいないように思えます。つまり、私たちがレジで並んでいてイライラするのは、自分の並んでいるレジの作業時間が他のレジより遅い、と分かった時です。
このアナロジーから推測出来ることは、G/D/mのロードポートあり、搬送時間なし、のモデルではトラップされたロットは存在しない、ということです。

この推測は正しいでしょうか?

ここで注意しなければならないのは、ロットが装置に割り付けられるケースが2通りある、ということです。

  • ケース1)共用バッファの先頭に並んでいたロットが、専用バッファに移る際に装置を選択する。
  • ケース2)共用バッファにまったくロットがなかった場合に、到着したロットが装置を選択する。

ケース1の場合は、共用バッファの先頭にそのロットが来た段階では、全ての専用バッファが詰まっていたのですから、どれか一つ空いた専用バッファに進めばよいことが分かります。ケース2の場合は、キャパシティ無限大のロードポートを持つシステムがM/M/1とみなされない訳で述べた

(1)到着したロットを、ステーション内で専用バッファ内で最も待ちロット数の少ない装置に割り当てる。
(2)もし、最も待ちロット数の少ない装置が複数台存在する場合は、最新の処理終了時刻が最も古い装置を選択する。

を採用するものとします。
私は、このような条件で上の推測を証明しようとしたのですが、意外に難しく、まだ、証明できていません。
しかし、上の推測は間違っていないように思えます。
装置処理時間が一定ならばトラップされたロットはない(2)」に続きます。