トラップ

トラップの概念を説明する例として2台の装置からなるステーションを考えます。1台の装置は、3つのロードポートを持っているとします。この時、

上の図のロット2のように、あるロットがすでにある装置(装置1)のロードポート上にあるために、別の装置(装置2)が空いていても、その装置に行けなくなる現象を第1種トラップと呼ぶことにします。なお、図中のロット1、ロット2、という数字は、ロットがこのステーションに到着した順番を表しています。また深緑色のFOUPは処理中のロットを、黄緑色のFOUPは待ちロットを表しています。
また、

上の図のロット2のように、自分より後から到着したロット(ロット3)が先に処理されてしまう(ロット3はロット2よりあとに到着したのに、装置1がもたもたしているために、装置2に割り付けられたロット3のほうがロット2より先に処理を開始してしまう)現象を第2種トラップと呼ぶことにします。そして「第1種トラップ」と「第2種トラップ」の両方を併せてトラップと呼ぶことにします。
ロードポートを考慮しない通常の待ち行列

ではこのトラップは発生しません。トラップが発生するのは、ロットが装置に割り付けられてから、実際に装置で処理されるまでに時間が経過する、というところから来ています。

  • よくスーパーのレジなどで、こちらのレジに並んでいる列のほうが人数が少ないから、といって並んでみたら、レジがもたもたしていて、別のレジに並んでいた人のほうが先にレジをすませていてしまった、というのが「第2種トラップ」です。レジに並んでいるうちに別のレジが空いてしまった、というのが「第1種トラップ」です。
  • レジの場合は、空いているレジに並びなおせばよいのですが、自動化された半導体ファブの場合は、装置にそのロットをアンロードするように上位の自動化システム(MES)が命令し、次に搬送システムに対してそのロットを空いている装置に運搬させるように命令する必要があり、少々手間がかかります。

トラップのサイクルタイムに与える影響については「トラップのサイクルタイムへの影響」を参照下さい。