ブルゴーニュ家

ブルゴーニュ家 (講談社現代新書)

ブルゴーニュ家 (講談社現代新書)

一時期、ヨーロッパ君主の家系図に「ハマっていた」ことがありまして、その関連でこの本を買いました。ブルゴーニュ家とは、フランス・ヴァロア朝の分家であり、フランスとドイツの間にあるブルゴーニュ(ドイツ語では、ブルグンド)を半ば独立国のように治めていた家柄です。この家系の最後の君主が「むこうみずの」シャルルであり、その娘マリーがハプスブルク家のマクシミリアンと結婚することによって、ブルゴーニュハプスブルク領になっていくのですが、この本はそうなる前のヴァロア系ブルゴーニュ家のことを綴っています。
しかし、その記述の仕方が、読者に媚びていないというか、ひとくせもふたくせもあります。例えば、各章のタイトルはまだ普通なのですが、その下の節のタイトルになると、何とも思わせぶりです。以下は、第1章のタイトルとその下にある節のタイトルです。

ヨーロッパ中世の複雑な家と家との結びつき、さまざまな称号とそれが指示する権利の範囲、名目と実際の乖離、そういったものを感じさせます。そういう、現代を生きていくにはどうでもよい事柄(トリビア?)に私は惹かれます。この本の前書きも少し紹介します。そこから、この本の記述の仕方を感じていただけたら、と思います。

はじめに

ブルゴーニュといえばセーヌ川とその支流ヨンヌ川の上流の山地からソーヌ川の流域におりる土地と、まずたいていのフランス人は説明するだろう。パリから見て案内するには、これが一番わかりやすい。地質学の方でも、パリ盆地の流れがモルヴァン山地とジュラ山脈にはさまれる「スイ・ド・ブルゴーニュ」と、「スイ」は地質学の方ではなんというのか、ふつうに意味をとれば、まあ「敷居」で、ブルゴーニュを敷居に見立てている。その南はローヌ盆地で、地中海の方からいけばローヌ盆地から「ブルゴーニュ敷居」をまたいでパリ盆地にはいる。

また、最初の「ガン(ベルギーの地名ヘントのフランス語読み)の祭壇画」をはじめとしてこの本にはいくつも当時の絵画(いわゆる西洋美術で登場するたぐい)が登場するので、この著者と一緒にヨーロッパの美術館に行ったら、その博学を聞けて楽しいだろうな、と想像しました。
と言いながら実をいうと、私はこの本を通して読んだことがありません。内容が複雑で、どうしても読み通せないのです。しかし興味がないわけではなく、私にとっては何度も挑戦するであろう本です。

  • 余談ですが、どなたか(中世)「ルクセンブルク家」という本を書いて頂けないでしょうか?