生き残った帝国ビザンティン

生き残った帝国ビザンティン (講談社現代新書)

生き残った帝国ビザンティン (講談社現代新書)

この本も私の好きな本です。ローマ史というのは想像力をかきたてます。ビザンティン帝国というのは後世の呼び名であって、その帝国の人々はもちろんこの帝国のことを「ローマ帝国」、自分たちを「ローマ人」と呼んでいました。ローマ帝国が395年に東西に分裂し、そのうち西ローマ帝国が476年に滅亡し、東だけ残った帝国がその後千年も存続して1453年に滅んだのですが、この東ローマ帝国ビザンティン帝国と後世の人々は呼んでいるのでした。
それは古代ローマ帝国とはかなり性格の変わったものになっています。そしてその変化は徐々に起きたのでどこがビザンティン帝国の始まりなのか、はっきりしません。
首都がローマだったのが、330年コンスタンティノープル(昔のビザンティオン、今のイスタンブール)に遷都します。
380年にはキリスト教が国教になり、かつてローマの神々に祈っていた国家祭儀がなくなります。
皇帝は市民の中の第一人者から、キリストの代理人になります。
しかし、その変化は徐々にであり、変貌しながらも帝国は連綿として存続します。都市ローマから誕生したローマ帝国は最後にはコンスタンティノープルだけになりながら50年存続して、最後はオスマントルコによって滅ぼされます。ローマの起源から数えれば2000年に渡る国家の興亡です。