M/G/mにおける待ち時間の近似式の導出
上位エントリー:待ち行列理論の私的総論
M/G/mの待ち行列における待ち時間の近似式は、
-
- ただし
- :キューでの待ち時間
- :装置処理時間の変動係数
- :M/M/mにおけるキューでの待ち時間
- :装置台数
- ただし
導出の試み
「M/G/1における待ち時間の式の導出(2)」で分かったことは、M/G/1の場合
- ・・・・・(1)
となることであり、「M/M/mにおける待ち時間の式の導出(3)」で分かったことはM/M/mの場合
- ・・・・・(2)
-
- ここにはm台の装置が全て空いている確率を表し、
-
- ・・・・・(3)
であることです。ここから、M/G/mの場合の待ち時間の近似式は、処理時間の分布がMの時に(2)に一致し、の時に(1)に一致するという要請を課すことが出来ます。M/M/1の場合
なので、これを
-
- ・・・・・(4)
と書き直せば(ただしはM/M/1の場合のを表す)、M/G/1の場合の式(1)は
- ・・・・・(5)
と書くことが出来ます。式(5)がM/G/mの場合にも成り立つ保障はありませんが、
- ・・・・・(6)
(ただしはM/M/mの場合のを表す)と置いてみると、処理時間の分布がMの時にはなので式(6)は式(2)に一致し、の場合は式(5)、すなわち式(1)に一致します。
「ORWiki」の「待ち行列における近似」を見ると、これはリー・ロントンの近似式というのだそうです。そして、
リー・ロントンの近似式は, のとき過小評価, のとき過大評価する傾向がある.
とのことです。同じく「待ち行列における近似」には「重負荷(heavy traffic)時における漸近的性質」というものが紹介されそれは
- ・・・・・(7)
というものだそうですが、式(6)(リー・ロントンの近似式)は(7)をも満たしているということです。
自分への宿題
式(7)「重負荷(heavy traffic)時における漸近的性質」が何故、成り立つのか、理解すること。今の自分の理解では、これは成り立たないことになってしまう。こまった。