- 作者: 矢島文夫
- 出版社/メーカー: 社会思想社
- 発売日: 1974
- メディア: 文庫
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一冊手元に, 2006/9/29
By くっきー
古代エジプトについて興味をもたれた方は、宇宙や王権の成立を説明した象徴的な神話だけでなく、古代エジプトで広く知られていた物語…民話をも、読まれることをオススメします。
なぜなら、民話では人々がどのように神々と接していたのか、どんなことを大切にしていたのか、求めていたのか、そういったことに触れているため、より古代エジプトという世界についてを、知らせてくれるからです。
この本は、そういう「民話」についてをまとめた数少ないものの一つであり、また、内容も、ちょうど物語らしく書かれているため、とても読み取りやすいものなので、オススメです。
変に端折らず、古代の物語りらしさが伝わってくる、素晴らしい一冊です。
有名なもの、よく取り上げられるものをまとめたものですので、その他の古代エジプトについての本を読むときにも、欠かせないものです。
古いので安いですが、これはかなりお買い得ですよ! 内容は、古さなんて関係ないものですから!
私の非常に好きな本のひとつです。「名著」といってよいでしょう。今回読み直しましたが平易にしてかつ水準が高いです。しかも安い。
解説も簡潔にして要所を押さえています。古代エジプトに少しでも関心のある人にならばどなたにでもお勧めします。
収録されているのは以下の物語です。
- 難破した船乗りの話
- 運命を定められていた王子
- 雄弁なオアシスの男
- ウェストカー・パピルスの小話
- 二人兄弟の話
- パフタンの王女
- シヌヘの物語
- 古代エジプト文学の白眉と言われている。
- ウナモンの航海
- サトニ・ハームス奇談
- ランプシニトス王とその娘
上記のほかに解説の中で、「有名なギザのスフィンクス」の両脚の間にある碑文にかかれたトゥトメス4世の物語の概要も紹介されています。私はその後、いろいろな古代エジプト関係の本を読んできましたが、ここに収録された以外の「おもしろい物語」をなかなか見つけることが出来ませんでした。
- 私がこの本以外に見つけた物語は、「イシスとラーの物語」(むしろ神話)、プルタルコスの伝える「オシリスとイシスの物語」(これも神話、そしてエジプト人ではなくギリシア人がまとめたので元来の話と異なる可能性がある)、上記の「ウェストカー・パピルスの小話」で収録されなかった部分、「ホルスとセトの争い」(神話のパロディ)、「はげたかとねこ」ぐらいしかありません。
高校時代にこの本に出会って衝撃を受けました。その後、長年の年月の間に一度は捨てたのですが、また後悔して買い直した本です。この本は私のそれまでの古代エジプト像を壊し、「何千年も前にも、自分達と同じような感じ方をする人間が生きていたのだ」と直感的に感じさせ、以来、長い間、私を古代エジプトに夢中にさせたのでした。