ロードポートネックによるキャパシティ悪化の近似式のLP=3への拡張(2)

ロードポートネックによるキャパシティ悪化の近似式のLP=3への拡張(1)」の続きです。今までの結果をまとめると以下のようになります。

  • (連続、連続)+短→(連続、連続)
  • (連続、連続)+長→(連続、中断)
  • (連続、中断)+短または長→(中断、連続)
  • (中断、連続)+短または長→(連続、連続)

ここでCETが長になる確率をp(短になる確率は1-p)とすると、以下のような状態遷移図を書くことが出来ます。

ここから、定常状態における各状態を発生確率を求めましょう。まず(連続、中断)の発生確率をaと置きます。遷移(連続、中断)→(中断、連続)は確率1の遷移で、(中断、連続)に入る他の遷移はないから、定常状態では(中断、連続)の発生確率は(連続、中断)の発生確率に等しくなり、よってこれもaになることがわかります。そうすると(連続、連続)の発生確率は1-2aで表されることになります(全ての状態の発生確率の和は1にならなければならないため)。

ここで状態(連続、連続)に入る遷移に注目して定常状態の式を作れば

  • (1-2a)(1-p)+a=1-2a

になります。これを変形すると

  • (1-2a)-p(1-2a)+a=1-2a
  • -p(1-2a)+a=0
  • -p+2pa+a=0
  • -p+(2p+1)a=0
  • (1+2p)a=p
  • a=\frac{p}{1+2p}

これで、(連続、中断)の発生確率を求めることが出来ました。今度は定常状態において「中断」がどの確率で発生するのか考えて見ます。これは簡単な話で、(連続、中断)の発生確率に等しいことが直感的に分かります。((中断、連続)も含めて数えてしまうと、「中断」を二重に数えていることになってしまいます。) 1回の「中断」で装置が空く時間は、長の時のCET2t_eの差ですが、これを「CETが確率的に2値をとる場合のロードポートネック(2)」での議論の時と同様にDとすると、平均で装置が空く時間は、Dに「中断」の発生確率aをかけた値

  • a=\frac{p}{1+2p}D

よって、CETが確率的に2値をとる場合のロードポートネックによる装置のキャパシティCapa

  • Capa=\frac{t_e}{t_e+\frac{p}{1+2p}D}・・・・・・(1)

となることが分かります。
さて、この結果を「ロードポートネックによるキャパシティ悪化の近似式」での議論に導入すれば、CETが分布を持って変動する場合の装置キャパシティの近似式を求めるには、CETの値がtの時の確率密度をp(t)で表して、

  • pD
    • \int_0^{\infty}tp(t+2t_e)dt

  • 1+2p
    • 1+2\Bigint_0^{\infty}p(t+2t_e)dt

に置き換えればよさそうです。つまり(1)を拡張した結果は次のようになります。

  • Capa=\frac{t_e}{t_e+\Bigint_0^{\infty}tp(t+2t_e)dt\left{\frac{1}{1+2\Bigint_0^{\infty}p(t+2t_e)dt}\right}}・・・・・・(2)

これでロードポートネックによるキャパシティ悪化の近似式をLP=3の時に拡張することが出来ました。

話題の継続

近似式(2)を一般のLP=nの場合に拡張するのは「ロードポートネックによるキャパシティ悪化の近似式のLP=nへの拡張を参照下さい。