M/M/1→M/1待ち行列ネットワークの待ち時間を求めて(2)

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次に、装置1の待ち行列と装置を含めた領域にあるロットの数がk個、かつ、装置2の待ち行列と装置を含めた領域にあるロットの数がm個、である状態を状態(k,m)と表すことにします。例えば下図の状態は、状態(1,3)です。

そうすると、dtの間に状態(0,0)の状態から状態(1,0)に遷移する確率は「M/M/1→M/1待ち行列ネットワークの待ち時間を求めて(1)」の式(6)から

  • {\lambda}dt

となります。これを下図のように表します。(ただし、図ではdtを省略しています。)

次に、dtの間に状態(1,0)から状態(0,1)に遷移する確率は「M/M/1→M/1待ち行列ネットワークの待ち時間を求めて(1)」の式(1)から

  • \frac{dt}{t_{e1}}

となります。さらにdtの間に状態(0,1)から状態(0,0)に遷移する確率は「M/M/1→M/1待ち行列ネットワークの待ち時間を求めて(1)」の式(2)から

  • \frac{dt}{t_{e2}}

となります。以上3つの状態の遷移の関係を図に表すと下図のようになります。(ここでもdtを省略しています。)

もちろん、状態(1,0)からdtの間にさらにロットが到着する遷移もあり得ます。この確率はやはり

  • {\lambda}dt

ですから、図は下のように追加されます。

以下、同様に繰り返していくと下図のようになっていきます。


ここで定常状態の時の状態(k,m)の発生確率をp(k,m)と表します。上記の図からp(k,m)を求めたいわけですが、どうすればよいのでしょうか?
1段のM/M/1待ち行列の場合は、下図に示すように、そして「M/M/1における待ち時間の式の導出(2)」で示したように、一番左の状態0から「出る量」と状態0に「入る量」が等しいことから始まって順に等式を立てることが出来ました。

しかし、今回は状態(0,0)から出る量と状態(0,0)に入る量が等しいことが、同様の推論を導きません。
ここで私は困ってしまいました。
M/M/1→M/1待ち行列ネットワークの待ち時間を求めて(3)」に続きます。