積形式解
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「M/M/1→M/1待ち行列ネットワークの待ち時間を求めて(3)」で出てきた式(11)
- ・・・・・・(11)
の形を「積形式解」というらしいです。ORWikiの「積形式解」の項目を見ると
待ち行列ネットワークのネットワーク状態の定常分布が各ノードの周辺分布の積となるものをいう.
と書かれています。「周辺分布」というのは、あるひとつの変数だけに関する(つまり他の変数の値は問わない)確率の分布のことです。さらに紀一誠教授の
によれば、
待ち行列網は「積形式解」が命
だそうですから、これを重視しないわけにはいきません。
最初は私は積形式解になるのは当たり前と思っていました。Factory Physicsではシステム全体の待ち時間やサイクルタイムを求めるのに、個々の工程での待ち時間やサイクルタイムをそのまま加算するのは普通だったからです。しかしよく考えてみると、前の工程のステーションと次の工程のステーションで、そこに存在するロット数の確率が独立ではないのは普通のことですね。つまり下の図のように、前のステーションでロットが1個消えるという遷移は、次のステーションでロットが到着するという遷移と連動しているわけですから。
そうすると、積形式解は常時成立するとは限らないことになります。そして次の課題は以下のようになります。
- どういう時に積形式解が成り立つか?
- 積形式解が成り立たない場合はどこまで解析出来るのか?
「積形式解、ジャクソン・ネットワーク」に続きます。