ハドリアーヌス

アントーニーヌスの前の皇帝。マルクスの養祖父。マルクスを養孫にしてアントーニーヌスの次の皇帝に定めた。「ふたたびハドリアヌス」参照。

昔使われていた表現は今ではもうすたれてしまった。同様に昔大いにうたわれた名前もある意味で今はすたれた。たとえばカミッルス、カエソ、ウォレースス、デンタートゥスや後のスキーピオカトー、それからまたアウグストゥス、ハドリアーヌスとアントーニーヌス。すべてすみやかに色あせて伝説化し、たちまちまったき忘却に埋没されてしまう。


(「自省録」マルクス・アウレーリウス著、神谷美恵子訳 岩波文庫より)