もう少し複雑な待ち行列ネットワークの解析(3)

先行エントリ:もう少し複雑な待ち行列ネットワークの解析(2)


前回の「もう少し複雑な待ち行列ネットワークの解析(1)」「もう少し複雑な待ち行列ネットワークの解析(2)」を振り返ってみると、積形式解として解けた大きな要因のひとつは「もう少し複雑な待ち行列ネットワークの解析(1)」の図1

  • 図1

と「もう少し複雑な待ち行列ネットワークの解析(2)」の図3

  • 図3

が基本的に同じ構造であること、その結果、式(1)(2)(3)と式(21)(22)(23)が同じ形式になったこと、であることが分かります。そこで図1と図3を改めてみますと、

  • 図1の「装置1」が図3の状態(k+1,m,n,r)
  • 図1の「装置2」が図3の状態(k,m+1,n,r)
  • 図1の「装置3」が図3の状態(k,m,n+1,r)
  • 図1の「装置4」が図3の状態(k,m,n,r+1)

に対応し、さらに

  • 図1における「システム外」(すなわち、装置1〜4以外)が図3の状態(k,m,n,r)

に対応していることが分かります。そして、図1における装置間の接続関係と、図3における状態間の接続関係が同じであることも分かります。なぜ、接続関係が同じになるかの理由を考えてみました。
今まで、図3のような「部分状態遷移図」を直感的に作ってきましたが、改めて見直して見ると、これは、以下の遷移を取り出していることが分かります。まず基本になる状態(k,m,n,r)を定め、それと比べてどれか1つのステーションだけがロット数を1増やした状態(k+1,m,n,r)(k,m+1,n,r)(k,m,n+1,r)(k,m,n,r+1)を作成します。そしてそれらの状態間の遷移だけを取り出しています。そうすると、それらの間の遷移は

  • 図1で示す装置の接続関係に従って起る、

あるいは

  • 「システム外」から装置1へ、
  • 装置2から「システム外」

に沿って起る、ことが明らかですから、図1と図3が同じになることは明らかです。
M/1一般ネットワークの場合の積形式解存在の証明」に続きます。