PASTA(2)

PASTA(1)」の続きです。ではPASTAの証明を試みます。
まずWIPを時間tの関数としてW(t)と表します。しかしWIPは確率的に変化する関数ですので、時刻tを固定してもWIPは固定せず、一種の確率変数になっています。
言いたいのはこういうことです。同じ性質を持つ待ち行列を多数集めます。その時のWIPの時間tによる変化を関数として考えると、関数の集合が出来ます。時刻tを固定した時の値は、この関数の集合全体で見た時にある分布を持って広がっているはずです。つまりこれがW(t)tを固定して考えても確率変数であるということです。その中で実際に起った(実現値としての)WIPの変化をw(t)で表すことにします。今、考えているのは定常状態ですから、w(t)-\inftyから+\inftyまで渡る関数であり、ジョブの到着も-\inftyからずっと始まっているのですが、適当なところから(ここではt=0からとします)未来に向けて見ていって出会ったジョブの到着に1から順番に番号をつけて識別することにします。そしてジョブの到着時刻をt_1t_2t_3・・・と表し、その時のWIPの値を、到着ジョブは含めないとして、w(t_1)=w_1w(t_2)=w_2w(t_3)=w_3・・・と表すことにします。1からNまでのWIP到着時平均は、

  • \frac{1}{N}\Bigsum_{i=1}^Nw_i

で与えられます。到着時平均はこれをN\rightar\inftyにしたものです。WIP到着時平均をE_a(w)で表すと

  • E_a(w)=\lim_{N\rightar\infty}\frac{1}{N}\Bigsum_{i=1}^Nw_i・・・・・・(1)

となります。
PASTA(3)」に続きます。