PASTA(7)

エルゴード性とは?(6)」で結論を出した

  • 時間によって変化する確率変数X(t)がエルゴード的であるためには、t\rightar\inftyにした時にX(t)の確率分布が、現在の値X(0)に関わらず同一の確率分布に収束すること

という条件を「PASTA(6)」で出した課題に当てはめてみます。PASTAが成立する条件、すなわち、時間平均と到着時平均が等しくなる条件、は何か、ということです。考察する量をf(t)とすると、f(t)でPASTAが成立する必要条件の1つは「PASTA(6)」での議論から

  • 1.f(t)の値が、期間(t,t+dt)ジョブが到着する確率と独立であること

でした。あと2つは

  • 2.f(t)がエルゴード的であること

  • 3.f(t)ジョブ到着時の値を並べた数列\{f_k\}がエルゴード的であること

ということですが、「エルゴード性とは?(6)」での結論を用いて上記2を

  • 2’.t\rightar\inftyにした時にf(t)の確率分布が、現在の値f(0)に関わらず同一の確率分布に収束すること

に置き換えた上で上記3を考えるとt\rightar\inftyならばk\rightar\inftyになるので、以下の3’が成り立ちます。

  • 3’.t\rightar\inftyにした時にf_kの確率分布が、現在の値f_0に関わらず同一の確率分布に収束すること

よって数列\{f_k\}もエルゴード的となり、3が成り立ちます。よってPASTAが成立するためには1と2’が成り立てばよい、ということになります。


1が成り立つかどうかは、f(t)の値が、tより未来の時点でのジョブの到着の確率に影響を与えるかどうかによりますから(影響を与えなければ1が成り立つ)、これを調べるのはわりと簡単です。では、2’が成り立つかどうかをどのように判断すればよいのでしょうか?
マルコフチェーンの場合は簡単ですが、一般の場合にはどうすればよいのか分かりません。ここでちょっと攻めあぐねてしまいます。