ひとやすみ

サイバネティックス 第2章「群と統計力学」から(1)」から「バーコフの個別エルゴード定理 記述3(その3)」までエルゴード定理の内容を自分なりに見てきましたが、その過程で感じたことは、エルゴード定理そのもの、つまり「サイバネティックス 第2章「群と統計力学」から(1)」の式(2.17)、(2.18)(クープマンとフォン・ノイマンの平均エルゴード定理)や「サイバネティックス 第2章「群と統計力学」から(2)」の式(2.21)、(2.22)(バーコフの個別エルゴード定理)よりも、変換Tの集合Eにおける「測度可遷性」を証明することの方が、エルゴード性(集合平均=時間平均)を証明するのにより重要なのではないか、ということです。統計力学において、変換T測度可遷性を証明することの重要性(これはまだ証明出来ていない?)はこれで分かりました。


しかし翻ってここで、私が今まで何してきたのか反省してみれば、もともとは待ち行列の平均待ち時間を求めたくてPASTAを検討し、PASTAの証明にエルゴード性を用いる必要が出て、エルゴード理論の検討まで進んでしまったのでした。その上今度は、エルゴード性の証明のために測度可遷性の証明が必要になってくる気配が出てきたのでした。そんなことよりもWIPなどの確率変数のエルゴード性を始めから仮定したほうがスッキリするのではないか、と思い始めました。しかし、どんな確率過程にもエルゴード性を認めては危険でしょう。ある確率過程がエルゴード的であるかどうかをどのように見極めたらよいのでしょうか? おそらく、時系列において

  • 現在の値が遠い未来の確率分布にまで影響を与えない。
  • 未来の確率分布の平均値が発散しない。

ことを確認すれば、それはエルゴード的と言えるのでしょう。たぶん・・・。