Word Whitt: The Queueing Network Analyzer(2)

Word Whitt: The Queueing Network Analyzer(1)」の続きです。
今日は2ページ訳しました。

これらのソフトウェア・パッケージは正確に解くことが出来るマルコフ・モデルのアルゴリズムを含んでいる。いくつかの適用について、モデル仮定は少なくとも近似的に満足され、よって解析は非常に有用であり得る。しかしながら、多くの他の適用について、モデル仮定は近似的にすら満足されず、よって解析結果は誤った方向へ導く可能性がある。
 近似的なモデルの正確な解析の自然な代替案はより正確なモデルの近似解析である。この論文は待ち行列のネットワークの混雑の尺度を近似的に計算するためにベル研究所で最近開発されたQueueing Network Analyzer (QNA)と呼ばれるソフトウェア・パッケージを記述する。QNAは非マルコフ・ネットワークを扱うことにより既存の正確な方法の先を進んでいる。すなわち到着過程はポアソン分布である必要はなく、サービス時間分布は指数分布である必要はない。QNAは個々の到着過程と個々のサービス時間分布の変動パラメータで近似的に特徴付けることにより他の種類の変動を扱う。必要な計算が最小で、大部分の複雑な部分は連立線形方程式の解であるので、QNAで大規模なネットワークを迅速に解析することも可能である。QNAの現在のバージョンはFORTRANで書かれている。
 以下がモデルの概要である。ノードと矢印のネットワークがある。ノードはサービス設備を表し、矢印は客あるいはジョブあるいはパケットの流れを表す。また外部ノードも存在し、これはサービス設備ではなく、外部世界を現わす。客は外部ノードから内部ノードへの矢印を通ってネットワークに入り、内部矢印に沿ってノードからノードへ移動し、最後に内部ノードから外部ノードへの矢印の一つに沿ってシステムを離れる。矢印の客の流れは、確率過程として表現され得るようにランダムであると仮定する。
 もし客が到着した時、ノードで全てのサーバーがビジーならば、客は待ち行列に入り、サーバーが空くまで待つ。空いているサーバがある場合、客はサービスを開始し、それは中断なく実行される。個々のノードでの後続のサービス時間は確率変数であると仮定され、これは客のタイプに依存するかもしれないがネットワークの履歴には独立であり、相互に独立で同一の分布である。客はサービスを完了した後、そのノードから別のノードへ向かう矢印にそって動く。客はこのようにいくつかの内部ノードからサービスを受け、最後にネットワークを離れる。典型的な(外部ノードのない)ネットワークの絵を図1に示す。

 モデルの重要な特徴は、ノードiからノードjへのフローと同様に、ノードjからノードiへのフローが存在し得ることである。これはもちろん、客が過去にサービスを受けたノードに戻り得る場合に有用であるが、客が過去にサービスを受けたノードに戻ることが出来ない場合にも有用である。そしてノードjからノードiへの流れはノードiからノードjへの流れる客とは異なる客を表す。
 モデルについて正確であるために、我々は基本仮定のリストを与える。しかし、以下の諸仮定の各々が明確な代替案によって置き換わるシステムを解析できるように作業はQNAを拡張する途中であることは注目すべきことである。一般的な近似のテクニックは柔軟であり、このアルゴリズムを修正することや拡張することは困難ではない。
 仮定1。ネットワークは閉鎖型ではなく開放型である。外部から来る客は、1つ以上のノードでサービスを受け、最後にシステムから立ち去る。
 仮定2。キャパシティ制約は存在しない。ネットワーク全体に存在することの出来る客の数に制限はなく、個々のサービス設備は無制限の待ちスペースを持つ。
 仮定3。個々のノードでは任意の数のサービスが存在し得る。それらは同一で独立なサービスであり、各々は一度に1名の客をサービスする。
 仮定4。客は個々の設備で最初に来たものが最初にサービスを受ける規則に従ってサービスのために選ばれる。
 仮定5。任意の数の客のクラスが存在するが、客はクラスを変更できない。さらに、QNAにおける解析の多くは集約あるいは典型的な客について行われる(セクション2.3とVIを参照)。
 仮定6。客はノードで生成されたり、組み合わせられたり出来る。例えば、1つの到着は2つ以上の出発を引き起こすことが出来る(セクション2.2を参照)。(メッセージについて考えよ。)

Word Whitt: The Queueing Network Analyzer(3)」に続きます。