Word Whitt: The Queueing Network Analyzer(1)

さて、前にも述べましたようにこの論文の翻訳の公表には著者のWord Whitt教授の許可を得ているのですが、訳し始めてみると1ページ目に気になることが書いてありました。

(C)Copyright 1983, American Telephone & Telegraph Company.非商用使用の写真発行は、改変がなく、Journalの参照とcopyright通知が最初のページに含まれているならばローヤルティの支払いなしに許可される。この論文のタイトルと摘要は、他の部分を除いてであるが、コンピュータによる、あるいは他の情報サービスによるシステムによってさらに許可をとることなしに、ローヤルティなしでコピーし配布してもよい。この論文のいかなる他の部分の再生産や再発行の許可は編集者から得られなければならない。


問題の箇所は最後の

Permission....must be obtained from the Editor.(許可は編集者から得られなければならない。)

というところですね。編集者(Editor)とは具体的に誰なのでしょう? まあ、文句を言われたら削除することにして先に進みます。

THE BELL SYSTEM TECHNICAL JOURNAL
Vol.62, No.9.1983年11月。USAにて発行


The Queueing Network Analyzer待ち行列ネットワーク・アナライザー)
W WHITT*1著(原稿受領1983/3/11)




この論文はQueueing Network Analyzer (QNA)、すなわち、待ち行列のネットワークの混雑の程度の近似を計算するための、ベル研究所にて開発されたソフトウェア・パッケージ、について述べる。第1バージョンのQNAは先到着先サービス(first-come, first-served)規則を持ち、キャパシティ制約のない複数サーバ・ノードの開放型ネットワークを解析する。重要な特徴は、外部到着過程はポアソン分布である必要はなくサービス時間分布は指数分布である必要はないことである。他の種類の変動を扱うことは重要である。例えば、パケット・スイッチド通信ネットワークでは我々はバースト・トラフィックとほぼ一定なパケットのサービス時間に由来する混雑を記述する必要がある。QNAにおける一般的な方法は、到着過程を2,3のパラメータによって近似的に特徴づけ、次に個々のノードを別々に解析することである。QNAの第一バージョンは到着過程とサービス時間を特徴付けるのに2つのパラメータを用いる。すなわち1つはレートを表し、もう1つは変動を表す、ノードは次に、到着間隔時間とサービス時間の分布の最初の2つのモーメントによって部分的に特徴付けられた標準GI/G/m待ち行列として解析される。全体としてのネットワークの混雑の尺度は近似フロー・パラメータが与えられた場合に各ノードが確率的に独立であるという近似を仮定することによって得られる。


I.導入とまとめ
待ち行列のネットワークは、コンピュータやスイッチング・マシン、通信ネットワーク、生産ジョブ・ショップといった複雑なシステムのパフォーマンスを解析するために役立つモデルであることが証明されてきた。*2 *3 *4 *5 *6 *7 *8 これらのモデルの解析を促進するために、いくつかのソフトウェア・パッケージが近年、開発されてきた。例えば、BEST/1*9、CADS*10、PANACEA*11 *12 *13そしてHeffes*14に基づいたもの、である。

Word Whitt: The Queueing Network Analyzer(2)」に続きます。

*1:ベル研究所

*2:L. Kleinrok,「待ち行列システム、巻2:コンピュータへの適用」New York: John Wiley and Sons, 1976

*3:M. Schwartz,「コンピュータ通信ネットワークの設計と解析」Englewood Cliff: Pentice-Hall, 1977.

*4:F.P.Kelly,「可逆性と確率的ネットワーク」New York:John Wiley, 1978

*5:E. Gelenbe and I. Mitrani,「コンピュータ・システムの解析と総合」New York: Academic Press, 1980

*6:C.H. Dauer and K.M. Chandy,「コンピュータ・システム・パフォーマンス・モデリング」Englewood Cliffs: Prentice-Hall, 1981

*7:J.G.Shanthikumar and J.A. Buzacott,「動的ジョブショップの開放型待ち行列ネットワーク・モデル」Int. J. Prod. Res., 19, No.3(1981), pp.255-66.

*8:R. L. Disney,「待ち行列ネットワークと応用」Baltimore: The John Hopkins University Lectures, 1982: to be published by the Johns Hopkins University Press.

*9:「BEST/1のユーザガイド」、BGS Systems, Inc., Waltham, Massachusetts, 1980

*10:「CADSのユーザマニュアル、Austine, TX: Information Research Associates, 1978

*11:J. McKenna, D. Mitra, and K. G. Ramakrishnan,「閉鎖型マルコフ型待ち行列ネットワーク:積分表現と漸近拡張と一般化」 B.S.T.J., 60, No.5 (May-June 1981), pp.599-641.

*12:J. McKenna and D. Mitra, 「閉鎖型マルコフ型待ち行列ネットワーク:通常の使用」 B.S.T.J., 61, No.5 (May-June 1982), pp.661-83.

*13:K. G. Ramakrishnan and D. Mitra, 「PANACEAの概要。マルコフ型待ち行列ネットワーク用のソフトウェア・パッケージ」 B.S.T.J., 61, No.10 Part 1(December 1982), pp.2849-72.

*14:H. Heffes, 「混合マルチジョブタイプ待ち行列ネットワークのクラスのためのモーメント公式」 B.S.T.J., 61, No.5(May-June 1982), pp.709-45.