QNA(10)(11)へのメモ(2)
「QNA(10)(11)へのメモ(1)」の続きです。
- 合流される元の流れが1個しかない場合、つまりまったく合流がない場合には、合流元と合流後で2乗変動係数が同じでなければならないはずなのに式(34)ではそうはなっていない。
ということの意味を述べます。
合流される元の流れが1個しかない場合には、合流元の到着レートは
だけであり、式(35)は
よって
これを式(34)
- ・・・・・・(34)
に代入すると
- ・・・・・・(ア)
となって必ずしもになりません。一方、式(33)は
- ・・・・・・(33)
ですが、合流される元の流れが1個しかない場合には、上と同様に考えて
よってかあるいはかのいずれかが成り立たなければ
- ・・・・・・(イ)
にならない。ところが今、合流元の流れの到着間隔の2乗変動係数には何も条件をつけていないのでとは言えない。また式(ア)から必ずしもとは言えない。よって式(イ)とは言えないということです。これは矛盾です。
ここまでのところをまとめると、式(34)はの指数は1.8ではなくて2にならなければならない、さらに、でにならなければならない、ということです。このためWhittは式(34)を改良して
- ・・・・・・(ウ)
(式(29)の添え字を落とした)を用いた、ということです。
これで重ね合わせのための一連の式が揃いました。それをまとめて記すと
- ・・・・・・(33)
- ・・・・・・(ウ)
- ・・・・・・(35)
です。
これらの式が導出された経過をまとめると、まず漸近法による近似
- ・・・・・・(31)
- 「W. Whitt,「再生過程による点過程の近似、?:2つの基本的方法」Oper. Res., 30, No.1 (January-February 1982),pp.125-47.」参照
が出発点であり、それを改良して式(33)を導き、式(ウ)と(35)は広範囲なシミュレーションと理論的考察の両方から導き出された、ということになります。
この論文「Word Whitt: The Queueing Network Analyzer」の翻訳が完了したら、次は上記論文にトライする必要がありそうです。