Word Whitt: The Queueing Network Analyzer(15)
「Word Whitt: The Queueing Network Analyzer(14)」の続きです。
今日も2ページ。
ここでM/G/1公式(62)と(63)をGI/G/1待ち行列のために修正する。を
(64)で定義する。ただしはについて(44)を、について(54)を用いた(63)におけるのM/G/1値であり、
(65)では(48)における遅延の確率である。maxはゼロで割るのを避けるために(65)で使われた。M/G/1待ち行列について、であり、GI/M/1待ち行列について、(65)におけるは正しい修正を提供するので、(64)は、、の真の値が与えられれば正確である。(65)における修正はの因子によってD/D/1待ち行列にとっては(64)を小さくし過ぎるが、(64)は高負荷においては漸近的に正しい。つまりもしあるいはのいずれかであれば、につれてである。
(47)と(64)から即座に
と (66)を得る。
ノードでの即座戻りが存在しそれが除去された場合、このセクションの諸公式は、セクションIIIで示したように調整が必要である。
5.2 GI/G/m待ち行列
QNAが提供する、複数サーバ・ノードの一次の混雑尺度は正確である。非再生定常到着過程についてでさえ、ビジー・サーバの期待数はちょうど提供された負荷である[HeymanとSobel*1のp.400とFranken他*2の(4.2.3)を参照](67)であり、トラフィック強度、つまり利用率は
(68)である。リトルの公式より、(47)におけるように
(69)
QNAは現在、複数サーバ・ノードについてはいくつかの単純な近似混雑尺度しか提供していない。これらはM/M/mモデル用の正確な諸公式を変更することで得られる。*3のような特性値がパラメータ、、の関数としての特性値を表し、のような特性値がM/M/mシステムについての正確な値であるとしよう。重負荷極限定理に基づくについての単純な近似*4 *5 *6 *7
は(70)である。公式(70)はM/G/m待ち行列について頻繁に使用され、その場合非常によく合うことが知られている。*8 *9 *10 *11重負荷極限定理のおかげで、を固定しとする時、(70)もまたGI/G/mシステムで漸近的に正しいことが知られている。限られた追加の研究が、かつの場合、あるいはかつの場合、適度な値のについて(70)もまた適切であることを示している。かつ(かつ)の場合、実際の値はかなり小さく(大きく)なり得る。
単純な近似(70)はとの2次モーメントについての単純な近似によっても補われる。それらは
と (71)から得られる。関係する2次モーメント特性値は(54)と(66)におけるように計算される。
複数サーバ・ノードについてのより詳細で洗練された近似が研究されつつある。前に示したように、さまざまな方法とアルゴリズムが、到着過程の諸パラメータが与えられた場合に、適用出来る。*12 *13 *14 *15 *16 *17 *18 *19 *20 *21 *22
VI. 総ネットワーク・パフォーマンス尺度
このセクションで我々は、全体としてのネットワークについてQNAが計算する近似混雑尺度について説明する。セクション6.1では、システム・ビュー、例えば、スループットとネットワーク内の客の数、を表す混雑尺度について検討する。セクション6.2と6.3では客ビュー、例えば訪問したノードの数と応答時間、を表す混雑尺度について検討する。実際、2つの異なる客ビューが存在する。セクション6.2では任意の、あるいは典型的な、あるいは集約の客のビューを議論する。セクション6.3ではネットワークを通して指定されたルートを持つ特定の客のビューを検討する。
「Word Whitt: The Queueing Network Analyzer(16)」に続きます。
*1:D. P. Heyman and M. J. Sobel,「オペレーションズ・リサーチにおける確率モデル、巻I」New York: McGraw-Hill, 1982.
*2:P. Franken, D, Koenig, U. Arndt, and V. Schmidt,「待ち行列と点過程」Berlin: Akademie-Verlag, 1981.
*3:R.B.Cooper,「待ち行列理論の紹介、第2版」New York: North Holland, 1981.
*4:D. L. Iglehart and W. Whitt,「高流量での複数チャネル待ち行列、II:順序とネットワークとバッチ」Adv. Appl, Prob., 2, No.2 (Autumn 1970), pp.355-69.
*5:S. Halfin and W. Whitt,「多くの指数分布サーバを持つ待ち行列についての高負荷極限」Oper. Res., 29, No. 3 (May-June 1981), pp. 567-88.
*6:J. Koellerstroem,「複数サーバを持つ待ち行列ののための重負荷理論。I」J.Appl. Prob., 11, No. 3 (September 1974), pp. 544-52.
*7:J. Koellerstroem,「複数サーバを持つ待ち行列ののための重負荷理論。II」J.Appl. Prob., 16, No. 2 (September 1979), pp. 393-401.
*8:A. M. Lee and P. A. Longton,「航空機乗客チェックインに関連する待ち行列過程」Oper. Res. Quart., 10, No. 1 (March 1959), pp. 56-71
*9:P. Holstad,「M/G/n待ち行列のための近似」Oper. Res., 26, No. 3 (May-June 1978), pp. 510-23.
*10:S. A. Nozaki and S. M. Ross,「ポアソン到着を持つ有限キャパシティ複数サーバ待ち行列における近似」J. Appl. Prob., 15 (1978), pp. 826-34.
*11:F. S. Hillier and O. S. Yu,「待ち行列の表とグラフ」New York: North-Holland, 1981.
*12:Y. Takahashi and Y. Takami,「一般クラスにおけるGI/G/c待ち行列システムの定常状態確率のための数値的方法」J. Oper. Res. Soc. Japan, 19(1976), pp. 147-57.
*13:H. C. Tijms, M. H. van Hoorn, and A. Federgruen,「M/G/c待ち行列の定常状態確率のための近似」Adv. Appl. Prob., 13, No. 1 (March 1981), pp. 186-206.
*14:H. Groenevelt, M. H. van Hoorn, and H. C. Tijms,「フェーズ型サービスを持つM/G/c待ち行列システムのための表」Report No. 85, Department of Actuarial Sciences and Econometrics, The Free University, Amsterdam, The Netherlands, 1982.
*15:M. F. Neuts,「確率モデルにおける行列幾何的解。アルゴリズム的方法」Baltimore: The Johns Hopkins University Press, 1981.
*16:M. F. Neuts, 「M/PH/c待ち行列を解析するためのプログラム」Department of Mathematics, University of Delaware, 1981.
*17:P. Hokstad,「非指数分布サーバ時間を持つ多くのサーバ待ち行列のためのいくつかの数値結果と近似」Department of Mathematics, University of Trondheim, Norway, 1981.
*18:J. H. A. de Smit,「さまざまなタイプの客を持つ待ち行列GI/M/s、あるいは、待ち行列GI/Hm/s」Adv. Appl. Prob., 15, No.2 (June 1983), pp. 392-419.
*19:J. H. A. de Smit,「GI/Hk/s待ち行列を解析するためのプログラム」Department of Applied Mathematics, Twente University of Technology, Enschede, The Netherlands, 1982.
*20:A. Ishikawa,「待ち行列システムGI/Ek/mのための平衡解について」T.R.U. Mathematics, 15, No. 1 (1979), pp. 47-66.
*21:S. Halfin and W. Whitt,「多くの指数分布サーバを持つ待ち行列についての高負荷極限」Oper. Res., 29, No. 3 (May-June 1981), pp. 567-88.
*22:D. Y. Burman and D. R. Smith,「複数サーバ待ち行列についての軽負荷理論」Math. Oper. Res., 8, No. 1 (February 1983), pp. 15-25.