QNA読解:2.3 クラスとルート毎のインプット(2)

上位エントリー:Word Whitt: The Queueing Network Analyzerの構成
QNA読解:2.3 クラスとルート毎のインプット(1)」の続きです。
前回は、流量の平均値について計算したので、今度は流量の2乗変動係数を計算したいところです。すなわち、標準入力における

  • c_{0j}^2
    • ノードjへの外部到着過程の到着間隔の2乗変動係数

です。しかし、これは複数の到着過程を重ね合わせた到着過程の2乗変動係数を求める問題になり、これはQNAの核心の問題です。これについては「4.3 重ね合わせ」で論じられます。(実はそこでも証明は与えられず、証明を理解するために他の論文を読む必要があるのですが・・・・・。これを理解することは現時点の私にとっては宿題です。) そこでここでは結果だけを引用します。

ノードjへの外部到着過程はさまざまなクラスからのノードjへの外部到着過程の重ね合わせであるので、セクション4.2での重ね合わせ到着過程のためのハイブリッド近似もまたここで用いられる。もし\lambda_{0j}=0ならば、c_{0j}^2は問題ではなくQNAはc_{0j}^2=1と設定する。さもなければ、

c_{0j}^2=(1-\bar{w_j})
	+\bar{w_j}\left[\Bigsum_{k=1}^rc_k^2\left(\hat\lambda_k1\{k:n_{k1}=j\}/\Bigsum_{l=1}^r\hat\lambda_l1\{k:n_{k1}=j\}\right)\right]	(10)

ただし、

	\bar{w_j}{\eq}\bar{w_j}(\rho_j,\bar{v_j})=[1+4(1-\rho_j)^2(\bar{v_j}-1)]^{-1}		(11)

\rho_jは(9)におけるトラフィック強度であり、

	\bar{v_j}=\left[\Bigsum_{k=1}^r\left(\hat\lambda_k1\{k:n_{k1}=j\}/\Bigsum_{l=1}^r\hat\lambda_l1\{l:n_{l1}=j\}\right)^2\right]^{-1}	(12)

である。


上の引用で出てくる。

\rho_jは(9)におけるトラフィック強度であり、

は、

		\rho_j=\lambda_j\tau_j/m_j				(9)

のことを指しています。まだこの時点では

  • \lambda_j

の求め方は登場していません。これは「4.1 トラフィック・レート方程式」で登場します。この変数の意味は、ノードjへ入る総流量です。一方

  • \tau_j

標準入力で登場した変数であり、ノードjの処理時間の平均値を表わしています。これの求め方についてはこのあと読解します。

  • m_j

はノードj(=ステーションj)のサーバの数(=装置台数)です。つまり、

  • \rho_j

は実は装置の利用率になります。


ここで私は疑問に思います。装置の利用率は装置の情報つまり平均処理時間に依存する変数です。外部到着過程の到着間隔の2乗変動係数を求めるのに、どうして装置の平均処理時間が関係してくるのでしょう。私にはこのことが奇妙に思えます。到着過程の重ね合わせは装置の状態とは無関係に行われる事象ではないでしょうか?
今のところ、この疑問は解決出来ません。


QNA読解:2.3 クラスとルート毎のインプット(3)」に続きます。