QNA読解:5.1 GI/G/1待ち行列(1)

上位エントリー:Word Whitt: The Queueing Network Analyzerの構成


QNA読解:V. ノードでの混雑」の続きです。このセクションではGI/G/1待ち行列の近似を扱います。最初にこのセクションの構成を概観します。

  • 待ち時間(確率変数)をWで表わす。
    • 平均待ち時間EWの近似
  • ノードに存在するジョブの数(確率変数)をNで表わす。
    • Nが正である確率P(N>0)
    • Nの平均値EN
    • Wが正である確率(つまり待ち時間が存在する確率)P(W>0)の近似
      • ややこしいことにこの論文ではP(W>0)\sigmaという記号でも表わしています。つまり\sigma{\eq}P(W>0)。これは標準偏差と紛らわしいですが、以下では\sigmaは全て、待ち時間が存在する確率[tex:P(W>0)を表わしています。
  • 待ち時間が存在する時の待ち時間をDで表わす。つまりW=0の場合を除いたWです。
    • Dの平均値EDED=EW/\sigma
    • Dの2乗変動係数c_D^2
      • Dを持ち出してきた背景には、DWよりも処理時間分布の依存が強い(到着間隔時間分布への依存が弱い)という事実があります(残念ながら今の私はそれを示すことが出来ません)。よってc_D^2を処理時間分布のみから近似してしまおうとしているのです。
      • c_D^2を導くのにd_s^3=E(v^3)/(Ev)^3という量が必要になります。ただしvは処理時間の確率変数です。このd_s^3を、
        • ケース1:c_s^2{\ge}1の場合は処理時間分布に超指数分布を仮定し
        • ケース2:c_s^2<1の場合はアーラン分布を仮定して
      • 求めています。
    • c_D^2が求まったことから
      • Var(D)
      • E(D^2)
      • c_W^2
      • Var(W)
      • E(W^2)を求めます。
    • Wの確率分布そのものの近似
      • これはDの分布を以下のように推定して(かなり乱暴ではないか?)、それと\sigma{\eq}P(W>0)からWの分布を構成しています。
        • ケース1:c_D^2>1.01の場合は超指数分布
        • ケース2:0.99{\le}c_D^2{\le}1.01の場合は指数分布
        • ケース3:0.501{\le}c_D^2<0.99の場合は2つの指数分布の畳み込み
        • ケース4:c_D^2<0.501の場合は2次のアーラン分布
    • E(N^2)
    • Var(N)を求めます。


以上が概観です。


QNA読解:5.1 GI/G/1待ち行列(2)」に続きます。