QNA読解:5.1 GI/G/1待ち行列(2)

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QNA読解:5.1 GI/G/1待ち行列(1)」の続きです。

平均待ち時間EW

まずは、平均待ち時間EWを近似します。これには(QNA読解:I.導入とまとめ(2)でも登場しましたが)KraemerとLangenbach-Belzの近似という以下の式を使っています。

  • EW=\tau\rho(c_a^2+c_s^2)g/2(1-\rho)・・・・(44)
  • ただし
    • g{\eq}g(\rho,c_a^2,c_s^2)=\left\{{\exp\left[-\frac{2(1-\rho)}{3\rho}\frac{(1-c_a^2)^2}{c_a^2+c_s^2}\right]\text{ c_a^2<1}\atop{1}\text{                             c_a^2{\ge}1}}・・・・(45)

c_a^2{\ge}1の場合は式(44)は

  • EW=\tau\frac{c_a^2+c_s^2}{2}\frac{\rho}{1-\rho}

となって、Factory Physicsに登場するKingmanの近似式に一致します。
残念ながら、今の私は、KraemerとLangenbach-Belzの近似の導出方法が分かりません。

ノードにジョブが1個以上存在する確率P(N>0)と、ノード内の平均ジョブ数EN

ノードにジョブが1個以上存在するということは、装置が処理中であるということに等しいですから、装置の利用率\rhoに等しいことになります。よって

  • P(N>0)=\rho・・・・(46)

次に平均ジョブENは、待っているジョブの数と処理中のジョブの数に分けて考え、最後にその両者を足して求めます。
待っているジョブの数は、リトルの法則から、

処理中のジョブ数は

  • \rho・・・・(イ)

なのでENは(ア)と(イ)を足して

  • EN=\rho+\lambda{EW}・・・・(47)

となります。

待ち時間が存在する確率P(W>0)

ややこしいことにこの論文ではP(W>0)\sigmaという記号でも表わしています。つまり\sigma{\eq}P(W>0)です。これは標準偏差と紛らわしいですが、ここしばらくは論文に従って\sigmaP(W>0)の意味で使用します。
\sigma{\eq}P(W>0)についても別のKraemerとLangenbach-Belzの近似式があるようで、論文はこれを用いています。これは

  • \sigma{\eq}P(W>0)=\rho+(c_a^2-1)\rho(1-\rho)h(\rho,c_a^2,c_s^2)・・・・(48)
  • ただし
    • h(\rho,c_a^2,c_s^2)=\left\{{\frac{1+c_a^2+\rho{c_s^2}}{1+\rho(c_s^2-1)+\rho^2(4c_a^2+c_s^2)}\text{    c_a^2<1}\atop{\frac{4\rho}{c_a^2+\rho^2(4c_a^2+c_s^2)}}\text{              c_a^2{\ge}1}}・・・・(49)

です。これについても今の私は導出方法が分かりません。論文ではM/G/1の場合、式(48)は近似ではなく正確な式になると言っています。

待ち時間が存在する場合に限った待ち時間の平均値ED

待ち時間が存在する時の待ち時間、つまりW=0の場合を除いたW、をD(確率変数)で表わします。その平均値EDは、条件確率の公式から

  • ED=EW/\sigma・・・・(ウ)

です。


QNA読解:5.1 GI/G/1待ち行列(3)」に続きます。