QNA読解:5.2 GI/G/m待ち行列

上位エントリー:Word Whitt: The Queueing Network Analyzerの構成


QNA読解:5.1 GI/G/1待ち行列(7)」の続きです。GI/G/mの場合は、GI/G/1の場合とは異なり、QNAはあまり多くの混雑尺度を計算してくれません。論文に登場しているのは

  • ENEWc_W^2c_N^2

です。

ノード内の平均ジョブ数EN

まずENについては問題なく正確に計算することが出来ます。その式は

  • EN=\rho{m}+\lambda{EW}・・・・(ア)

この式は、処理中のジョブがこのノードに平均\rho{m}個存在し、さらに待っているジョブ\lambda{EW}個存在するので、それを足してENを求めています。

平均待ち時間EW

近似式

  • EW(c_a^2, c_s^2, m)=\left(\frac{c_a^2+c_s^2}{2}\right)EW(M/M/m)・・・・(70)

によって求めています。ただしEW(M/M/m)は、求めたい待ち行列と同じ利用率\rhoを持つM/M/mにおけるEWを表わします。この式は「待ち行列理論の私的総論」に登場する式と同じです。

待ち時間の2乗変動係数c_W^2とノード内のジョブ数の2乗変動係数c_N^2

  • c_W^2(c_a^2, c_s^2, m)=c_W^2(M/M/m)・・・・(71-1)
  • c_N^2(c_a^2, c_s^2, m)=c_N^2(M/M/m)・・・・(71-2)

で近似しています。ただしc_W^2(M/M/m)c_N^2(M/M/m)は、それぞれ、求めたい待ち行列と同じ利用率\rhoを持つM/M/mにおけるc_W^2c_N^2を表わします。この近似式ではc_a^2c_s^2も考慮されないので、粗い近似と言えます。


QNA読解:VI. 総ネットワーク・パフォーマンス尺度」に続きます。