QNA読解:6.1 システム混雑尺度

上位エントリー:Word Whitt: The Queueing Network Analyzerの構成


QNA読解:VI. 総ネットワーク・パフォーマンス尺度」の続きです。
ここでは、ネットワーク全体のスループットとネットワーク内のジョブの数を計算します。

スループット

論文では

客がノードで生成されたり組合せられたりする場合、2つ以上の可能な解釈が存在する。我々は到着が処理されるレート(=スピード)に・・・・興味があるだろう。・・・・反対に、我々は客がネットワークを離れるレートに、あるいはサービスが完了するレートに興味を持つだろう。

とあります。この読解では、ノードでの客(=ジョブ)の増加減少は考えないことにしていますので(「QNA読解:I.導入とまとめ(2)」の仮定6参照)解釈は1つに定まり、ネットワーク全体のスループットを外部到着レート(「QNA読解:2.1 標準インプット」参照)\lambda_{0j}の合計として定義します。

  • \lambda_0=\lambda_{01}+...+\lambda_{0n}・・・・(72)

ネットワーク内のジョブの数Nの平均ENと分散Var(N)

ネットワーク全体のジョブの数Nの平均ENは、個々のノードでのジョブの数の平均EN_jの和になることは明らかですから

  • EN=EN_1+...+EN_n・・・・(75)

となります。
分散Var(N)については正確に求めることは出来ません。もし各ノードでのジョブの数N_jが互いに独立であると仮定するならば、独立な確率変数の和の分散は、個々の確率変数の分散の和になるので(「独立な確率変数の和の分散」参照)

  • Var(N)=Var(N_1)+...+Var(N_n)・・・・(76)

となりますが、一般にはN_jは互いに独立ではありませんので、式(76)は近似になります。「M/n一般ネットワークの場合の積形式の証明(2)」で示したようにジャクソンネットワークの場合は(76)は正確に成り立ちます。


QNA読解:6.2 集約客の経験」に続きます。