ジャクソンネットワークの積形式解の存在(2)
「ジャクソンネットワークの積形式解の存在(1)」の続きです。
「ジャクソンネットワークの積形式解の存在(1)」で登場した局所平衡方程式(6)
- ・・・・・・(6)
が大域平衡方程式を満足することを確認します。
まず、上の図のように考えれば、大域平衡方程式を作るのに考慮すべき遷移は以下のようなものです。
まず状態に入る遷移から
- 状態の時にステーションにジョブが1個到着して状態に遷移する確率レート
- 状態の時にジョブがステーションでの処理を終えてステーションに向かい状態に遷移する確率レート
- 状態の時にステーションからジョブの処理が完了してネットワークの外に出て状態に遷移する確率のレート
ただし、状態状態はステーションのジョブ数だけを−1した状態を表すものとします。また、上記の遷移はとについて合計をとるものとします。さらに、の場合は、状態や状態は存在しないので、それらからの遷移はないものと考えます。
次に状態から出る遷移は
これについても上記の遷移はについて合計をとるものとします。さらに、の場合は、状態や状態は存在しないので、それらからの遷移はないものと考えます。
すると大域平衡方程式は(出て行くほうを左辺に入ってくるほうを右辺に書くと)以下のようになります。
-
- ・・・・・・(7)
ただしはジョブがステーションでの処理終了後、ネットワークの外に出て行く確率を表します。この定義から
- ・・・・・・(8)
であることが分かります。また式(7)においての時のとはゼロであると考えます。
では、局所平衡方程式(6)が大域平衡方程式(7)を満たすことを確認します。
式(6)から、もしならば
- ・・・・・・(9)
の時は、式(9)の左辺は0になります。そこでの時は、であると考えれば、の時に式(9)が成り立つと言う事が出来ます。
また、(6)から
- ・・・・・・(10)
(9)と(10)を足すと
この両辺をについて合計すると
-
- ・・・・・・(11)
(11)の左辺は
ここで最後の項について式(8)を適用すれば
よって式(11)は
となり、これは大域平衡方程式(7)に一致します。よって局所平衡方程式(6)が大域方程式(7)を満たすことを示すことが出来ました。
「ジャクソンネットワークの積形式解の存在(3)」に続きます。