ジャクソンネットワークの積形式解の存在(3)
「ジャクソンネットワークの積形式解の存在(2)」の続きです。
今までの考察で、局所平衡方程式は
- ・・・・・・(6)
でした。
「ジャクソンネットワークの積形式解の存在(1)」の式(5)
- ・・・・・・(5)
を式(6)に代入して
- ・・・・・・(12)
式(12)を「ジャクソンネットワークの積形式解の存在(1)」の式(1)
- ・・・・・・(1)
と比較すると、(1)で
と置き換えると(12)になることが分かるので、「ジャクソンネットワークの積形式解の存在(1)」の式(2)
- ・・・・・・(2)
のを用いれば、式(12)は
- ・・・・・・(13)
という形に解けるはずです。式(13)の右辺は「ジャクソンネットワークの積形式解の存在(1)」の式(3)
- ・・・・・・(3)
を用いて
となります。よって式(13)は以下のようになります。
- ・・・・・・(14)
式(14)に式(2)を代入して
- ・・・・・・(15)
式(15)は、「M/M/mにおける待ち時間の式の導出(2)」における式(8)と式(9)と本質的に同じなので、同様の考察から、その利用率がに等しいM/M/待ち行列における状態の発生確率をで表すと
- ・・・・・・(16)
となることが導けます。ただし状態は状態の番目の要素の値をゼロに置き換えた状態を表し、は規格化定数を表します。以上の考察を全てのステーションについて行えば、
- ・・・・・・(17)
となることが分かります。ただし、状態は、全てのステーションでジョブ数がゼロである状態を表します。
次に、規格化定数を求めます。まず、
- ・・・・・・(18)
でなければなりません。(18)に(17)を代入すると
- ・・・・・・(19)
ところがの値がどの値であっても
が成り立つので、式(19)は
- ・・・・・・(20)
となります。式(17)は
- ・・・・・・(21)
と書けるので、式(20)を用いれば
- ・・・・・・(22)
となります。これで、ジャクソン・ネットワークが積形式解を持つことが証明できました。