複数クラスを持つM/M/2待ち行列(2)

複数クラスを持つM/M/2待ち行列(1)」の続きです。

  • 再掲図3

複数クラスを持つM/M/2待ち行列(1)」の最後のところで、図3の右側の2つの状態を区別することがわずらわしくなってくると述べました。そこで、どのクラスのジョブが現実にどの装置上にあるかにかかわらず、図の上ではクラスはA、B、C・・・・の順に装置#1から順に詰めていくものとします。
こうすることによる場合分けの数の削減メリットは、M/M/2では装置が2台しかないのであまり目立ちませんが、もっと装置台数が増えると削減のメリットが大きくなります。このようなルールに基づいて図3を書き直してみると

  • 図4

となります。この図に対応する平衡方程式は

  • [tex:P*1\frac{1}{t_e}=P*2{\lambda_B}]

となります。ここから

  • [tex:P*3=2P*4u_B]・・・・・(5)

が導かれます。同様に考えて

  • [tex:P*5=2P*6u_A]・・・・・(6)

です。次に図2

  • 再掲図2

は、上のルールに従えば

  • 図5

になります。この図に対応する平衡方程式は

  • [tex:P*7\frac{2}{t_e}=P*8\lambda_B+P*9\lambda_A]

となり、これを変形して

になります。ここでちょっと注意しなければならないのは、

  • 図6

図6のように2台の装置に同じクラスのジョブが入っている状態(図の右)への遷移については、1つの状態(図の左)だけからの遷移になることです。この図に対応する平衡方程式は

これを変形して

になります。同様に

になります。


最後に図1の場合は、

  • 再掲図1

上のルールに従っても、遷移の関係は変わらずです。一応図に示すと下記のようになります。

  • 図7

この図に対応する平衡方程式は

  • P((A,B),B,A)\frac{2}{t_e}=P((A,B),B)\lambda_A

となり

  • P((A,B),B,A)=P((A,B),B)u_A・・・・・(10)

となります。


式(5)〜(10)を用いれば、任意の状態の定常状態確率が[tex:P*19]の関数として表すことが出来ます。そして最後にそれらの状態を全て合計したものが1になるという条件から[tex:P*20]の値を求めることが出来ます。


複数クラスを持つM/M/2待ち行列(3)」に続きます。

*1:B

*2:\phi

*3:B

*4:\phi

*5:A

*6:\phi

*7:A,B

*8:A

*9:B

*10:A,B

*11:A

*12:B

*13:A,A

*14:A

*15:A,A

*16:A

*17:B,B

*18:B

*19:\phi

*20:\phi