複数クラスを持つM/M/2待ち行列(3)

複数クラスを持つM/M/2待ち行列(2)」の続きです。


では、個々の定常状態確率分布を求めてみます。[tex:P*1]を求めるのはちょっとしんどいのでこのままにしておきます。[tex:P*2]は、システムにジョブがまったくない状態の確率を表していますから「M/M/mにおける待ち時間の式の導出(1)」の式(1)におけるp_0に当たります。よってここでも[tex:P*3]をp_0と書き直すことにします。
「[複数クラスを持つM/M/2待ち行列(2)]」の式(6)から

  • [tex:P*4=2u_Ap_0]・・・・・(11)

同じく式(5)から

  • [tex:P*5=2u_Bp_0]・・・・・(12)

式(8)と式(11)から

  • [tex:P*6=2u_A^2p_0]・・・・・(13)

式(9)と式(12)から

  • [tex:P*7=2u_B^2p_0]・・・・・(14)

式(7)と式(11)(12)から

  • [tex:P*8=4u_Au_Bp_0]・・・・・(15)

処理中のジョブのクラスがともにAであるような状態をS_{AA}AB1つずつであるような状態をS_{AB}、ともにBであるような状態をS_{BB}と表すと、式(13)と(10)から

  • P(S_{AA})=2u_A^2p_0\prod_{i=3}^Nu_{c(i)}・・・・・(16)
  • P(S_{AB})=4u_Au_Bp_0\prod_{i=3}^Nu_{c(i)}・・・・・(17)
  • P(S_{BB})=2u_B^2p_0\prod_{i=3}^Nu_{c(i)}・・・・・(18)

となることが分かります。ただしNは状態Sが持つジョブの数、c(i)は位置iのクラス、を表します。


今までは、クラスはA,Bの2つしかないと考えていました。装置台数は2のままで、クラスが一般にQ個あるとしたらどうなるでしょうか? 今までの議論をなぞってチェックしていきます。
式(11)(12)は

  • P((c(1)))=2u_{c(1)}p_0・・・・・(19)

と一般化されるでしょう。式(7)(8)(9)は

  • c(1){\neq}c(2)ならば
    • [tex:P*9=P((c(1)))u_{c(2)}+P((c(2)))u_{c(1)}]・・・・・(10)
  • c(1)=c(2)ならば
    • [tex:P*10=P((c(1)))u_{c(1)}]・・・・・(11)

と一般化されます。式(19)を用いれば(10)(11)は

  • c(1){\neq}c(2)ならば
    • [tex:P*11=4u_{c(1)}u_{c(2)}p_0]・・・・・(20)
  • c(1)=c(2)ならば
    • [tex:P*12=2u_{c(1)}^2]・・・・・(21)

と変形出来ます。式(16)(17)(18)は

  • c(1){\neq}c(2)ならば
    • P(S_{c(1),c(2)})=4u_c(1)u_c(2)p_0\prod_{i=3}^Nu_{c(i)}
    • つまり
    • P(S_{c(1),c(2)})=4p_0\prod_{i=1}^Nu_{c(i)}・・・・・(22)
  • c(1)=c(2)ならば
    • P(S_{c(1),c(1)})=2u_{c(1)}^2p_0\prod_{i=3}^Nu_{c(i)}
    • つまり
    • P(S_{c(1),c(1)})=2p_0\prod_{i=1}^Nu_{c(i)}・・・・・(23)

となります。


複数クラスを持つM/M/m待ち行列(1)」に続きます。

*1:\phi

*2:\phi

*3:\phi

*4:A

*5:B

*6:A,A

*7:B,B

*8:A,B

*9:c(1),c(2

*10:c(1),c(1

*11:c(1),c(2

*12:c(1),c(1