「ケリーネットワークの積形式解の存在証明の試み(再挑戦)(1)」の続きです。
では、それぞれの状態からクラス2のジョブがの間に出発する確率はどうなるでしょうか?
の場合は
の場合は
になることが分かります。の時に出発するのは左側の2だけです。もし右側の2が出発したら、出発後の状態がになってしまいます。) さて状態の定常状態確率[tex:P*1]と状態の定常状態確率[tex:P*2]は等しいはずですので、ここは状態に代表させて、そこから
の確率でクラス2のジョブが出発すると考えましょう。つまり遷移後の状態に出発したジョブのクラス2を左端に押し込んで出来た状態で代表させます。
もうひとつ例を出しましょう。遷移後のステーションの状態がの場合はどうなるでしょう。この場合、遷移前の状態として考えられるのは、、の3通りです。そしてそれぞれの状態でクラス2のジョブがの間に出発する確率は、どの状態の場合も等しく
になります。ここでも遷移後の状態に出発したジョブのクラス2を左端に押し込んで出来た状態で代表させれば、そこから
の確率でクラス2のジョブが出発すると考えてかまわないことになります。
このようにどの場合でも合計した遷移確率が
(ただしk_iは遷移後の状態でのステーションでのジョブの数)になる理由は、下図のように考えれば納得行きます。
つまり出発したジョブを押し込む場所(そのジョブが元いた位置)の可能性として個の場所が考えられる。そして、その押し込んだジョブが終了して出発する確率を考えればよい、ということです。
状態でステーションにクラスのジョブを左から押し込んで出来た状態をで表すことにします。状態の時にステーションの状態ですでに全ての装置が処理中の場合は、でのステーションでの状態は記述における丸カッコ内の一番右側のジョブを待ち状態側に押し出して作るものとします。たとえばの時、状態にクラス1を左から押し込んだとすれば、状態になることにします。
このようにを表すことで、「ジャクソンネットワークの積形式解の存在(1)」の式(6)に対応するケリーネットワークのための局所平衡方程式を次のように立てることが出来ます。
- ・・・・・・(7)
ただしここでは「状態Sにおける」ステーションでのジョブの数を表します。よって
ここで式(6)
- ・・・・・・(6)
を用いると
- ・・・・・・(8)
これを
「ジャクソンネットワークの積形式解の存在(3)」の式(12)の時と同じように式(1)
- ・・・・・・(1)
と比較して、式(8)と(1)の項の対応関係を指摘したいところですが、おしいことに
に対応するのが式(8)の左辺では
なのに対して右辺では
ととだけが異なっています。
さて、どうしたらよいでしょうか?
「ケリーネットワークの積形式解の存在証明の試み(再挑戦)(3)」に続きます。