M/M/2の出発過程は何?(2)

M/M/2の出発過程は何?(1)」の続きです。
状態が変化していく様子を図にまとめてみましょう。まず、時刻0で装置が2台とも処理中の場合についてです。この場合、ある時刻からdt後までの間に

  • \frac{2}{t_e}dt

の確率でジョブが出発して、次の状態に移ります。次の状態は何でしょうか? もし出発前にステーションジョブが2個しかなかったのであれば、出発後には1台だけが処理中の状態になります。しかし出発前にステーションジョブが3個以上あるならば、出発後の状態はやはり装置が2台とも処理中の状態になります。今は、ジョブが1回出発するかどうかを問題にしていますから、ジョブが出発していない状態と、1回(以上)出発した状態を区別することにしましょう。そして装置が2台とも処理中の状態を数字の「2」で表します。出発後の状態は装置が2台とも処理中かあるいは1台だけ処理中のいずれかなので、「出発後:1か2」で表します。すると下のような図が書けます。


次に時刻0で1台だけ処理中の場合について考えますと、ある時刻からdt後までの間にこの状態から、今、処理中のジョブが終了して出発する確率は

  • \frac{1}{t_e}dt

です。出発後の状態は装置が2台とも空いている状態になります。そこで、出発前の状態を「1」、出発後の状態を「出発後:0」で表します。ところが状態「1」にはもう1つ別の状態遷移があります。それはこのステーションに別のジョブが到着して状態「2」になる遷移です。ある時刻からdt後までの間にジョブが到着する確率は、

  • \frac{2u}{t_e}dt

です。そして状態「2」に移ったのちの動作については上の図ですでに表されています。よって、1台だけ処理中の場合の図は以下のように書くことが出来ます。


最後に時刻0で2台とも空いている場合について考えます。この状態を「0」で表すことにします。「0」で考えられる状態遷移は、このステーションに別のジョブが到着して状態「1」になる遷移です。ある時刻からdt後までの間にジョブが到着する確率は、

  • \frac{2u}{t_e}dt

です。そして状態「1」に移ったのちの動作については上の図ですでに表されています。よって、2台とも空いている場合の図は以下のように書くことが出来ます。


結局、上の図でこの問題の全ての動作は表されることになります。状態「2」「1」「0」の時刻0における確率は「M/M/2の出発過程は何?(1)」の式(1)〜(3)で示したように、それぞれ、

  • p({\ge}2)=\frac{2u^2}{1+u}
  • p(1)=\frac{2u(1-u)}{1+u}
  • p(0)=\frac{1-u}{1+u}

となります。ここで時刻tの時の状態「2」「1」「0」の確率をp({\ge}2,t)p(1,t)p(0,t)と表すことにしましょう。すると、

  • p({\ge}2,0)=\frac{2u^2}{1+u}・・・・・・(5)
  • p(1,0)=\frac{2u(1-u)}{1+u}・・・・・・(6)
  • p(0,0)=\frac{1-u}{1+u}・・・・・・(7)

と書き表すことが出来ます。さらに上の図から、以下の方程式が成り立つことが分かります。

  • \frac{dp({\ge}2,t)}{dt}=\frac{2u}{t_e}p(1,t)-\frac{2}{t_e}p({\ge}2,t)・・・・・・(8)
  • \frac{dp(1,t)}{dt}=\frac{2u}{t_e}p(0,t)-\frac{1}{t_e}p(1,t)-\frac{2u}{t_e}p(1,t)・・・・・・(9)
  • \frac{dp(0,t)}{dt}=-\frac{2u}{t_e}p(0,t)・・・・・・(10)

次回はこれを解き、併せてジョブが出発する確率の変化の様子を見ていきます。


M/M/2の出発過程はポアソン過程」に続きます。