M/M/2の出発過程はポアソン過程
「M/M/2の出発過程は何?(2)」の続きです。
前回の結論は下の図
と、下の一連の微分方程式
- ・・・・・・(8)
- ・・・・・・(9)
- ・・・・・・(10)
と初期条件
- ・・・・・・(5)
- ・・・・・・(6)
- ・・・・・・(7)
でした。(8)〜(10)のうちすぐ解けるのは(10)で、(10)からは
が導かれます。ここには積分定数です。(7)から
であることが分かり、
- ・・・・・・(11)
となります。
次に(11)を(9)に代入して
- ・・・・・・(12)
これをどうやって解けばよろしいでしょうか? (6)を考慮して
- ・・・・・・(13)
であると仮定してみましょう。ここではまだ値の分からない定数であるとします。(13)を(12)に代入すると
- ・・・・・・(14)
式(14)が成り立つためには
- ・・・・・・(15)
と
- ・・・・・・(16)
が成り立つ必要があります。(15)を変形すると
となり、(16)と同じ結果になるので、(16)が成り立てば(15)も成り立つことが分かり、よって(14)も成り立ちます。よって(13)に(16)を代入して
- ・・・・・・(17)
であることが分かります。
次に(17)を(8)に代入します。
- ・・・・・・(18)
これも、先ほどと同じように
- ・・・・・・(19)
と仮定して解きます。(19)の形を決めるには(5)を考慮しました。(19)を(18)に代入して
- ・・・・・・(20)
式(20)が成り立つためには
- ・・・・・・(21)
と
- ・・・・・・(22)
が成り立つ必要があります。(21)を変形すると
となって(22)に一致するので、(22)が成り立てば(21)も成り立ち、従って(20)も成り立つことが分かります。よって(18)の解は、(19)に(22)を代入した
- ・・・・・・(23)
であることが分かります。
では、ジョブが出発する確率密度はの経過とともにどのように変化するでしょうか? ジョブが出発することに対応する遷移は状態「2」から状態「出発後:1か2」への遷移と、状態「1」から状態「出発後:0」への遷移の2つがあります。状態「2」から状態「出発後:1か2」への遷移の確率密度は
- ・・・・・・(24)
状態「1」から状態「出発後:0」への遷移の確率密度は
- ・・・・・・(25)
式(24)と(25)の右辺を足して
結局、ジョブが出発する確率密度は
で表されます。これは平均間隔
のポアソン分布の式にほかなりません。よって、M/M/2ステーションからのジョブの出発過程はポアソン過程になります。
「M/M/mの出発過程はポアソン過程(1)」に続きます。