M/M/mの出発過程はポアソン過程(1)
「M/M/2の出発過程はポアソン過程」の続きです。
ここまでくれば、M/M/mの出発過程もポアソン過程であることが推測されます。それを証明してみましょう。「M/M/2の出発過程はポアソン過程」での下図
に対応する図を描けば下図のようになります。
ここから以下の連立微分方程式が導かれます。
- ・・・・・(1)
- の時
- ・・・・・(2)
- ・・・・・(3)
「M/M/2の出発過程はポアソン過程」の類推で、これらの連立微分方程式の解が
- [tex:k
- ・・・・・(4)
- の時
- ・・・・・(5)
であると仮定します。ただし、はステーション内の装置が全て空いている確率であり、「M/M/mにおける待ち時間の式の導出(2)」の式(14)から
- ・・・・・(6)
です。一方、はステーション内の装置が全て処理中である確率を表します。(4)と(5)を実際に(1)、(2)、(3)に代入してこれらが解であることを確かめます。
その前にがどのように表されるか計算します。は台の装置が全て処理中である確率ですから、ステーション内にジョブが個以上ある確率です。「M/M/mにおける待ち時間の式の導出(2)」の式(12)からであるとしてステーション内にジョブが個ある確率は
- ・・・・・(7)
よって
- ・・・・・(8)
です。
では、(4)を(1)に代入してみます。この場合、ですから式(4)は
- ・・・・・(9)
になります。(9)を(1)の左辺に代入すると
- ・・・・・(10)
次に(9)を(1)の右辺に代入すると
- ・・・・・(11)
よって(1)の左辺と右辺が等しいことが確かめられました。よって(9)が(1)の解であることが確かめられました。
次に、(4)を(2)に代入して確かめてみます。(2)の左辺は
- ・・・・・(12)
になります。(2)の右辺は
-
- ・・・・・(13)
となり、(12)と一致します。よって(4)が(2)を満たすことが分かります。
最後に、(4)(5)を(3)に代入して確かめます。(3)の左辺は
ここで(8)を代入すれば
- ・・・・・(14)
(3)の右辺は
ここで(8)を代入すれば
となり、(14)と一致します。よって(4)(5)が(3)を満たすことが分かります。
以上から連立微分方程式(1)(2)(3)の解は(4)(5)であることが分かりました。
「M/M/mの出発過程はポアソン過程(2)」に続きます。