保管バッファへ行く回数の推定(2)

保管バッファへ行く回数の推定(1)」で得た式(2)

  • D{\approx}u\left(\frac{(1+c_e^2)u}{2-(1-c_e^2)u}\right)^j・・・・・(3)

がどのような特性を示すのかをみるために、この式で少しグラフを書いてみます。
話を簡単にするために装置の処理時間は一定とします。すると

  • c_e=0・・・・・(3)

になりますので

  • D{\approx}u\left(\frac{u}{2-u}\right)^j・・・・・(4)

となります。
装置利用率uが80%(u=0.8)であるとして装置バッファの数を増やしていくと、保管バッファへ行く確率がどのように減っていくかを見てみます。

  • 図1(再掲)


するとこうなります。

X軸の値が0の場合は保管バッファを設けない場合です。この場合は、装置の利用率が80%ですので、この工程にやってきたジョブは80%の確率で装置が空いていないことを発見して、保管バッファに向かいます。そこで1個バッファを設けると(X軸の値が1の時)、保管バッファに向かう確率は53%にまで減少します。バッファを3個設ければ24%と、かなり減ります。しかし、装置のそばにそれだけのスペースを設けることが出来るかどうかが今度は問題になります。実際に適用する場合には、許容出来る確率と、装置のそばのスペースの、両方を考慮して適切な装置バッファ数を決めるべきでしょう。


今度は、装置バッファの数を3に固定し(j=3)装置利用率uを変化させてみます。するとこうなります。

装置が100%稼動している時には、やってくるジョブは必ず保管バッファに向かうことになるのでしょうか? M/G/1の待ち行列理論を基に考える限りそういうことになります。しかし私は、現実の工場は、これとは少し様子が違うのではないか、と考えています。そのことをお話しする準備がまだ出来ていませんので、ここではここまでとしておきます。