M/D/1待ち行列とD/M/1待ち行列の到着時刻状態分布の比較
ところで、「D/M/1における待ち時間の近似式」の式(5)
- ・・・・・(5)
の右辺は「M/D/1における待ち時間の式の導出」に示す待ち時間の式そのものです。ということは、利用率をある値に定めた時、M/D/1の平均待ち時間とD/M/1の平均待ち時間はほぼ等しくなる、ということです。
このように平均待ち時間は似た特性を示すのですが、到着時刻の状態分布も似ているかといえば、そうではありません。M/D/1については到着過程がポアソン過程なのでPASTAを適用することが出来、到着時刻の状態分布と時間平均での状態分布が等しくなります(「M/G/mの定常状態のジョブ数分布について」参照)。よって、M/D/1の到着時刻状態分布は、「M/D/1の定常状態分布」で示したグラフそのものになります。
これと「D/M/1待ち行列の到着時刻状態分布(3)」で示したグラフを用いて、M/D/1とD/M/1の到着時刻状態分布を比較するグラフを書くことが出来ます。それを以下に示します。これらは平均待ち時間がほぼ同じである、ということを念頭において、グラフを見て下さい。平均待ち時間がほぼ同じでも、結構、分布の様子が異なっています。
- 利用率10%のとき
- 利用率20%のとき
- 利用率30%のとき
- 利用率40%のとき
- 利用率50%のとき
- 利用率60%のとき
- 利用率70%のとき
- 利用率80%のとき
- 利用率90%のとき