E2/M/1待ち行列の平均待ち時間とその近似式

E2/M/1待ち行列の到着時刻状態分布(2)」の続きです。
D/M/1における待ち時間の式の導出」と同じ議論を適用でき、ジョブの平均待ち時間は「D/M/1における待ち時間の式の導出」の式(17)と同じ

  • CT_q=\frac{b}{1-b}t_e・・・・・(22)

となります。ただしbは今回は「E2/M/1待ち行列の到着時刻状態分布(2)」の式(21)

  • \frac{4u^2}{(1+2u-b)^2}=b・・・・・(21)

を満足する解で0{\le}b<1の範囲にあるものになります。式(21)は変形すれば3次方程式になるので解析的に解けないことはないのですが、解の式が複雑になりそうなので解析的に解くことはせず、また、Excelで値を試行錯誤で増減させて、だいたいの解を求めました。その結果は下のグラフに示します。

さらに、このようにして求めたbを式(22)に代入した結果を下のグラフに示します。Y軸には待ち時間そのものではなく、それを平均処理時間で割った値、つまりCT_q/t_eをとります。比較のためにD/M/1の場合とM/M/1の場合も一緒に示します。

このグラフから予想がつくのですが、D/M/1の時の平均待ち時間とM/M/1の時の平均待ち時間を平均するとE_2/M/1の時の平均待ち時間のよい近似になります。ut_eを定めた時のD/M/1の時の平均待ち時間の値をCT_{q,D/M/1}(u,t_e)で、M/M/1の時の平均待ち時間の値をCT_{q,M/M/1}で表すと近似式は

  • CT_q{\approx}CT_{q,D/M/1}(u,t_e)+CT_{q,M/M/1}(u,t_e)・・・・・(23)

下にE_2/M/1の時の平均待ち時間の、式(21)(22)で求めた値と式(23)で近似した値を下のグラフで比較します。

さらに、0{\le}u{\le}0.7の範囲を拡大してみます。

非常に精度がよい近似になっていることが分かります。


ここから、式(23)を一般化してGI/M/1の平均待ち時間CT_{q,GI/M/1}(u,t_e)の近似式として

  • CT_{q.GI/M/1}(u,t_e){\approx}(1-c_a^2)CT_{q,D/M/1}(u,t_e)+c_a^2CT_{q,M/M/1}・・・・・(24)

を考えることが出来ます。この式ではGIがDの時、c_a=0となり、左辺はCT_{q,D/M/1}(u,t_e)に等しくなります。また、GIがMの時、c_a=1となり、左辺はCT_{q,M/M/1}(u,t_e)に等しくなります。また、GIがE_2の時、「アーラン分布」の式(14)からc_a^2=1/2となりますが、これを式(24)に代入すると式(23)と同じになります。私は確かめることが出来ていませんが、この近似は多くのGI/M/1で成り立つようです。