Marshallの公式に向けて(1)
「待ち行列における近似モデル 逆瀬川浩孝氏」を読んでいると、こんな一節がありました。
5.平均値の近似
混雑の指標として、何かの特性量の期待値だけを知りたい(求めたい)という場合がある。システム全体の解析を経ることなく、簡単な計算によって、そのような指標が求められるならば、いろいろなパラメータを動かした時の変化の様子を調べて最適なパラメータを選ぶという作業が容易になるであろう。たとえば単一窓口モデルGI/G/1の待ち時間を考えてみよう。番目に到着した客の待ち時間を、サービス時間を、番目と番目の客の到着間隔をとすれば、
という関係が成り立つ。適当な条件のもとではを大きくすると平衡状態での待ち時間に収束し、平均待ち時間は上の式を使って、
- (ただし、、)
と表すことが出来る。
まず、GI/G/1でなぜ式(1)
- ・・・・・(1)
が成り立つか、ですが、これは図を書けば直感的に分かります。
まずの場合ですが、これは下図のようになります。
この時、
- ・・・・・(2)
となっているのが分かります。
次に[tex:W_n+B_n
このときには
- ・・・・・(3)
になっていることが分かります。(2)と(3)を一つの式にまとめると(1)になります。
私は以上は理解したのですが、次になぜ(1)ならば
- ・・・・・(4)
が成り立つのか、まだ分かりません。
- 追記。2009/6/27。分かりました。「GI/G/1待ち行列の平均待ち時間の式」参照
しかし(4)が成り立つとすると、Whittの論文「The Queueing Network Analyzer」で私が分からなかった式の一つである、GI/G/1待ち行列における出発間隔時間の2乗係数についてのMarshallの公式
- ・・・・・(5)
を導くことが出来ます。ところで、ここでは私の記述法に従って(5)を以下のように書き換えます。ただしは私の記述法ではですが、これはのままにしておきます。(そのほうが他の式を直さなくてすむので)
- ・・・・・(6)
では、式(4)から(6)を導き出してみましょう。
まず(4)から
- ・・・・・(7)
となります。
「Marshallの公式に向けて(2)」に続きます。