つなぎの式の導出(2)

つなぎの式の導出(1)」ではGI/G/1について式(1)

  • c_d^2{\approx}u^2c_e^2+(1-u^2)c_a^2・・・・・(1)

を導出しました。しかし、式(1)をGI/G/mの場合に拡張したという

  • c_d^2{\approx}1+(1-u^2)(c_a^2-1)+\frac{u^2}{\sqrt{m}}(c_e^2-1)・・・・・(4)

を導く方法がまだ私には分かりません。以下は、その導出の試みです。




GI/G/mの時に仮に

  • c_d^2{\approx}q(m,u)+r(m,u)c_a^2+s(m,u)c_e^2・・・・・(5)

で表すことが出来るとします。ここでq(m,u)r(m,u)s(m,u)はこれから求める関数です。まず、M/M/mの時は、出発過程もポアソン分布になるので(「M/M/mの出発過程はポアソン過程(2)」参照)、c_a=c_e=1の時は、muの値に関わらず、c_d=1にならなければなりません。これらを式(5)に代入して

  • 1=q(m,u)+r(m.u)+s(m,u)

よって

  • q(m,u)=1-r(m,u)-s(m,u)・・・・・(6)

これを式(5)に代入すると

  • c_d^2{\approx}1-r(m,u)-s(m,u)+r(m,u)c_a^2+s(m,u)c_e^2・・・・・(7)

次にm=1の時に式(7)は式(1)に一致しなければなりませんから

  • 1-r(1,u)-s(1,u)=0・・・・・(8)
  • r(1,u)=1-u^2・・・・・(9)
  • s(1,u)=u^2・・・・・(10)

このうち(8)は、(9)と(10)から導くことが出来ますので、(9)と(10)だけ考慮すればよいことになります。また、m>1の時もm=1の時と同様にu\rightar{0}c_d{\rightar}c_aとなることが、「つなぎの式の導出(1)」と同様に考えると分かるので

  • r(m,0)=1・・・・・(11)

また、「つなぎの式の導出(1)」と同様に考えるとu\rightar{1}c_dに対するc_aの影響がなくなることが分かるので

  • r(m,1)=0・・・・・(12)

となります。(9)(11)(12)から

  • r(m,u)=1-u^2・・・・・(13)

と置くことが(必然的ではありませんが)自然であることが分かります。(13)を(7)に代入して

  • c_d^2{\approx}1-1+u^2-s(m,u)+(1-u^2)c_a^2+s(m,u)c_e^2

よって

  • c_d^2{\approx}1+(1-u^2)(c_a^2-1)+s(m,u)(c_e^2-1)・・・・・(14)

一方、M/G/∞の時、出発過程はポアソン分布になる(証明は別途示します)のでc_d=c_a=1を(14)に代入してm{\rightar{\infty}とすれば

  • 1{\approx}1+\lim_{m\rightar{\infty}}s(m,u)(c_e^2-1)

ここで、この式はc_eは任意の値で成り立つことに注意すれば

  • \lim_{m\rightar{\infty}}s(m,u)=0・・・・・(15)

私が今、分かっているのはここまでです。





式(10)と(15)から

  • s(m,u)=\frac{u^2}{\sqrt{m}}・・・・・(16)

を導き出せれば(4)を導くことが出来るのですが、(10)と(15)を満足するものならば

  • s(m,u)=\frac{u^2}{m・・・・・(16’)

でも

  • s(m,u)=\frac{u^2}{m^2・・・・・(16’’)

でも

  • s(m,u)=\frac{u^2}{m^2+m-1・・・・・(16’’’)

でもよいわけですから、(10)と(15)だけから(16)を導くことが出来ません。
式(14)でu=1とすると、

  • c_d^2{\approx}1+s(m,1)(c_e^2-1)・・・・・(17)

となり、c_aの項が消えます。これは下の図のように

  • 図3

m台ある装置がみな稼動しているために、出発間隔D_nが、処理時間B_nB_{n+1}・・・・によってのみ決まる状況を表しています。つまり、1台の装置の処理時間の並びを下図のようにm台(下図では3台)並べて、全ての処理終了時刻を1つにまとめた時系列が出発過程になります。

  • 図4

そしてその間隔の変動係数c_dになります。


ここまでは分かったのですが、変動係数c_eであるm個の処理時間の系列を重ね合わせた系列の変動係数の求め方が分かりません。残念です。


つなぎの式の導出(3)」に続きます。