Tさんとのやりとり(2)

その後のTさんとのやりとりです。

Tさんから

ここの部分は34式の代わりに、2008年9月16日エントリー「QNA読解:4.3 重ね合わせ(2)」の(ウ)式をお使い下さい。こちらがWhitt教授推奨の式です。このエントリーのうしろのほうの記述「ともかくこれで重ね合わせのための一連の式が揃いました。それをまとめて記すと」のところをご参照下さい。


上記理解しました。
到着間隔の変動は(35)、(ウ)、(36)を用いれば算出でき(ウ)はシミュレーションにより(34)よりも簡単に計算できる式になっている。
Factory Physicsに書いてあったWhittの近似式の意味が私にも段々分かってきました。
ありがとうございます。

(中略)

GI/G/m 時の出発過程の変動係数を実際のラインの実績やシミュレーション結果と比較するときに多品種でいろいろなフロー(ラウティング)がある時にはどのように比較すればよいのでしょう。該当工程の前工程で処理した装置はm台有り、1製品のフローでもm台分の(4)式の出発過程の変動係数があり、変動なので単純な平均もできず、かつ多品種だとさらにフローが違うので前工程の装置は多くなります。
この辺が待ち行列理論が一般の製造ラインに適用されない原因なのでしょうか? それとも(35)、(ウ)、(36)のように全ての流入のフロー毎に計算できるような計算式があるのでしょうか


私から

GI/G/m 時の出発過程の変動係数を実際のラインの実績やシミュレーション結果と比較するときに多品種でいろいろなフロー(ラウティング)がある時にはどのように比較すればよいのでしょう。該当工程の前工程で処理した装置はm台有り、1製品のフローでもm台分の(4)式の出発過程の変動係数があり、変動なので単純な平均もできず、かつ多品種だとさらにフローが違うので前工程の装置は多くなります。
この辺が待ち行列理論が一般の製造ラインに適用されない原因なのでしょうか? それとも(35)、(ウ)、(36)のように全ての流入のフロー毎に計算できるような計算式があるのでしょうか


基本的には(35)(ウ)(36)式と同じ考え方で変動を計算することになります。QNA読解:2.3 クラスとルート毎のインプット(2)に登場する式(10)(11)(12)がそれに当ります。
なお、このWhitt教授の論文には、計算の過程を示す例が載っています。それについては
QNA読解:2.3 クラスとルート毎のインプット(4)
QNA読解:2.3 クラスとルート毎のインプット(5)
で解説しております。ご参考にして下さい。


Tさんから

基本的には(35)(ウ)(36)式と同じ考え方で変動を計算することになります。QNA読解:2.3 クラスとルート毎のインプット(2)に登場する式(10)(11)(12)がそれに当ります。


以前読んだときは理解できませんでしたが、今回は(35)(ウ)(36)が(10)(11)(12)と同じ事が理解できました。 また、以前読んだときは「外部到着過程の到着間隔」はネットワークの外部からのジョブの到着間隔のことで内部でループしているジョブ以外のことだと思っていました。そのため、

  • 「ここで私は疑問に思います。装置の利用率は装置の情報つまり平均処理時間に依存する変数です。外部到着過程の到着間隔の2乗変動係数を求めるのに、どうして装置の平均処理時間が関係してくるのでしょう。私にはこのことが奇妙に思えます。到着過程の重ね合わせは装置の状態とは無関係に行われる事象ではないでしょうか?」

というコメントに対して私も同感でした。しかし、この式がネットワーク内のループしているジョブの到着間隔も「外部到着過程の到着間隔」と読んでいるなら装置の利用率は装置の情報つまり平均処理時間に依存する変数になるような気がします。
(後略)


私から

ご質問の点ですが、

以前読んだときは「外部到着過程の到着間隔」はネットワークの外部からのジョョブの到着間隔のことで内部でループしているジョブ以外のことだと思っていました。


その認識で間違いありません。
とすると、小職がTさんの質問の内容を取り間違えたのかもしれません。

QNA読解:2.3 クラスとルート毎のインプット(4)
QNA読解:2.3 クラスとルート毎のインプット(5)
の例をもう少し、半導体での用語に合わせてお示しするのがよいかもしれません。もう少し、考えてみます。


私から

ひと晩おいて考え直してみました。そして下記
QNA読解:2.3 クラスとルート毎のインプット(4)
QNA読解:2.3 クラスとルート毎のインプット(5)
では、外部到着過程の変動の求め方のみが書かれていることに気づきました。おそらくTさんがお知りになりたいのは、外部のみではなくそのステーションに到着するロットの流れ全体の変動の求め方だと推測いたしました。これはループ工程がない場合はまだ計算が楽なのですが、ループ工程がある場合はおそらく連立一次方程式を解く必要がある、と思います。このあたり実際の計算まで試したことがなかったので、小職もよく理解しておりません。そこで、近いうちにブログ上で展開したいと思います。ちょっと準備が必要なので、数日後に開始しようと思っております。おそらく簡単な例であっても計算が大変なことになりそうな気がします。まずは、ループのない一直線で1品種のラインから始めて、2品種、ループのある1品種、ループのある2品種、と徐々に例題を複雑にしていこうかと思います。


ということで近日中に「QNA」の計算方法を示す例をいくつか作成して、アップしていこうと考えました。