QNAによるライン・サイクルタイムの計算例(6)

QNAによるライン・サイクルタイムの計算例(5)」の続きです。


次に各ステーションでのジョブの到着間隔の変動係数を求めます。
ステーション2の到着間隔変動係数c_a(2)を計算するにはまず、ステーション2に入る2つの流れの到着間隔の変動係数、つまり品種1、2がラインに到着する到着間隔の変動係数c_a(1)c_a(2)、を求めます。すなわち

  • c_a(1)=\frac{\sigma_a(1)}{t_a(1)}・・・・・(16)
  • c_a(2)=\frac{\sigma_a(2)}{t_a(2)}・・・・・(17)

次に「QNA読解:4.3 重ね合わせ(2)」の式(33)、(ウ)、(35)

  • c_H^2=w\Bigsum_i\left(\lambda_i/\Bigsum_k\lambda_k\right)c_i^2+1-w・・・・・・(33)
  • w=[1+4(1-u)^2(v-1)]^{-1}・・・・・・(ウ)
  • v=\left[\Bigsum_i\left(\lambda_i/\Bigsum_k\lambda_k\right)^2\right]^{-1}・・・・・・(35)

を用いてこれらの流れを重ね合わせた変動係数を求めます。これらの式をステーション2に適用すると以下のようになります。

  • c_a(2)^2=w\left[\frac{\lambda_0(1)}{\lambda_0(1)+\lambda_0(2)}c_a(1)^2+\frac{\lambda_0(2)}{\lambda_0(1)+\lambda_0(2)}c_a(2)^2\right]+1-w・・・・・・(16)
  • w=[1+4(1-u(2))^2(v-1)]^{-1}・・・・・・(17)
  • v=\left[\left(\frac{\lambda_0(1)}{\lambda_0(1)+\lambda_0(2)}\right)^2+\left(\frac{\lambda_0(2)}{\lambda_0(1)+\lambda_0(2)}\right)^2\right]^{-1}・・・・・・(18)

まず式(18)でvを求め、次にそれを式(17)に代入してwを求め、最後にwを(16)に代入してc_a(2)^2を求めます。


次にステーション1,3の到着間隔の変動係数を求める前に、つなぎの式を用いてステーション2での出発間隔の変動係数c_d(2)を求めます。

  • c_d(2)=1+(1-u(2)^2)(c_a(2)^2-1)+\frac{u(2)^2}{\sqrt{3}}(max\{c_e(2)^2,0.2\}-1)・・・・・(19)

今度はこれをステーション1への流れとステーション2への流れに分岐させます。それには「QNA読解:4.4 分岐」の式(36)

  • c_i^2=p_ic^2+1-p_1・・・・・(36)

を用います。ここでp_iは、ステーションiに進む確率を表しています。ここでの例に沿って考えれば、p_iは、ステーション1については

  • \frac{\lambda_0(1)}{\lambda_0(1)+\lambda_0(2)}

ステーション2については

  • \frac{\lambda_0(2)}{\lambda_0(1)+\lambda_0(2)}

です。よって、ステーション1,3の到着間隔の変動係数は以下のようになります。

  • c_a(1)=\frac{\lambda_0(1)}{\lambda_0(1)+\lambda_0(2)}c_d(2)+1-\frac{\lambda_0(1)}{\lambda_0(1)+\lambda_0(2)}・・・・・(20)
  • c_a(3)=\frac{\lambda_0(2)}{\lambda_0(1)+\lambda_0(2)}c_d(2)+1-\frac{\lambda_0(2)}{\lambda_0(1)+\lambda_0(2)}・・・・・(21)

です。


これで、

  • c_a(1)^2c_e(1)^2u(1)t_e(1,1)
  • c_a(2)^2c_e(2)^2u(2)t_e(2)
  • c_a(3)^2c_e(3)^2u(3)t_e(3,2)

の全てを求めることが出来ましたので、

  • CT_q(1)=\frac{c_a(1)^2+c_e(1)^2}{2}\frac{u(1)}{1-u(1)}t_e(1,1)・・・・・(22)
  • CT_q(2)=\frac{c_a(2)^2+c_e(2)^2}{2}\frac{u(2)^{\sqrt{2{\times}(3+1)}-1}}{3(1-u(2))}t_e(2)・・・・・(23)
  • CT_q(3)=\frac{c_a(3)^2+c_e(3)^2}{2}\frac{u(3)^{\sqrt{2{\times}(2+1)}-1}}{2(1-u(3))}t_e(3,2)・・・・・(24)

で、それぞれのステーションでの平均待ち時間CT_qが求まります。これらから、品種1のサイクルタイムCT(1)

  • CT(1)=CT_q(2)+t_e(2,1)+CT_q(1)+t_e(1,1)・・・・・(25)

品種2のサイクルタイムCT(2)

  • CT(2)=CT_q(2)+t_e(2,2)+CT_q(3)+t_e(3,2)・・・・・(26)

で計算することが出来ます。


QNAによるライン・サイクルタイムの計算例(7)」に続きます。