多品種方針と1品種方針(1)
「短寿命市場時代の工場運営」で考えた多品種方針と1品種方針の優劣を調べる例について、その条件を変えた場合に結果がどう変わるか検討してみる。
売れ筋製品が売れる期間を1年から6ヶ月に短縮してみよう。すると1品種方針の場合は、売れる期間内に10品種全てを試すことが出来なくなるので最悪まったく売れなくなる可能性が出てくる。これに対して多品種方針の場合は、最初に売れ筋製品が分かるので、その後の5ヶ月は必ず10A個ずつ売れる。これを実際に計算してみよう。
多品種方針では、最初の1ヶ月はA個、残りの5ヶ月は10A個売れるので、全部で51A個売れる。1品種方針では、(60A+50A+40A+30A+20A+10A)×1/10=21A個売れる。今度は、1品種方針の場合は多品種方針の42%しか売れない。ちなみに売れる期間が12ヶ月の場合はこの数値は68%だった。ここから、売れる期間が短ければ短いほど多品種方針のほうが有利になるということが予想される。また、この売れる期間というのは、本当は実際には売れる期間/サイクルタイムで考えるべきであることが分かるから、サイクルタイムが長ければ長いほど多品種方針が有利になるということが予想される。また、品種数が多くなると1品種方針では、まったく生産する機会を得ない製品の種類が多くなるので、品種数が多いほど多品種方針が有利になるということが予想される。これらの予想を確かめるためにモデルを一般化する。
品種数をとする。どの品種の製品についても生産を開始してから店舗に到着するまでのサイクルタイムがヶ月であるとする。工場はどの製品についてもその製品単独で生産する場合、最大、月個生産する能力があるものとする。売れるのは品種の中の1つだけであり、その売れる期間はヶ月であるとする。評価尺度は、(1品種方針の場合の総売り上げ個数)/(多品種方針の場合の総売り上げ個数)、とする。
の場合と、[tex:T_2
- 多品種方針の場合
- 最初のヶ月の売上げ
- 個
- その後のヶ月の売上げ
- 個
- ヶ月間の総売り上げ
- 最初のヶ月の売上げ
- 1品種方針の場合
- 最初のヶ月の売上げ
- 個
- その後のヶ月の売上げ
- 個
- ヶ月間の総売り上げ
- 評価尺度
- ・・・・・(1)
- 最初のヶ月の売上げ
ここからの場合、確かにであることが分かる。
[tex:T_1
- 多品種方針の場合
- の場合と同じく、ヶ月間の総売り上げ
- の場合と同じく、ヶ月間の総売り上げ
- 1品種方針の場合
- より小さい、最大の自然数をとする。
- 最初のヶ月の売上げ
- 個
- その後のヶ月の売上げ
- ヶ月間の総売り上げ
-
- 評価尺度
- ・・・・・(2)
式(2)のほうは、よく分からない式になってしまった。
「多品種方針と1品種方針(2)」に続きます。