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DBR(ドラム・バッファ・ロープ)で設定するWIPについて

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昨日「バッファ・マネジメントについて(まとめ)」をアップしたあとに、昨日書いた内容は、DBR(ドラム・バッファ・ロープ)で、工場の先頭工程からボトルネック工程までにどれだけWIPを貯めておくのが適当か、という問題にもある程度の知見を与える…

バッファ・マネジメントについて(まとめ)

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では、今までに分かったことをまとめてみます。 その前に、説明を簡便にするために用語を一つ定義しておきます。すなわち、必要総在庫数から工場内の製品数の「平均」を引いたもの、すなわち需要変動に対応して品切れを起こさないようにした最小の平均手持ち…

バッファ・マネジメントについて(10)

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「バッファ・マネジメントについて(9)」の続きです。 最後に、工場サイクルタイムが変動する場合について考察します。今までは工場サイクルタイムは一定であると仮定してきました。この仮定は多くの場合、現実からかけ離れています。では、工場サイクルタ…

バッファ・マネジメントについて(9)

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「バッファ・マネジメントについて(8)」での考察を、工場サイクルタイムをいろいろ変化させて行ってみました。その結果を下のグラフに示します。 必要総在庫数はその定義上、常に自然数でなければなりません。それと対照的に、工場内の製品数の平均と製品…

バッファ・マネジメントについて(8)

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「バッファ・マネジメントについて(7)」での考察で出てきた 工場サイクルタイムが長くなると「需要の変動に対応するための手持ち在庫数」も増える。 という結論を、確率論的な数式を使って確かめてみます。需要がポアソン過程で発生すると仮定します。ポ…

バッファ・マネジメントについて(7)

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「バッファ・マネジメントについて(6)」では、需要の変動が大きくなると必要総在庫数が増加する、ということが分かりました。今度は考察の方向を変えてみます。「バッファ・マネジメントについて(5)」の需要が規則的な場合 と「バッファ・マネジメント…

バッファ・マネジメントについて(6)

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「バッファ・マネジメントについて(5)」では、需要が規則正しく発生する場合を考察しました。今度は、需要が不規則な場合を考察してみましょう。ただし、工場のサイクルタイムは一定、という仮定はそのままにしておきます。 たとえば下図のような需要を考…

バッファ・マネジメントについて(5)

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「バッファ・マネジメントについて(4)」の最後では という図を示し、今まで検討してきた待ち行列モデルよりも複雑なモデルになるのか、という疑問を出しましたが、どうもこれは待ち行列モデルよりも扱いが簡単そうです。そのことを見ていくために、最初に…

バッファ・マネジメントについて(4)

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「バッファ・マネジメントについて(3)」の続きです。 「バッファ・マネジメントについて(2)」で、需要により工場に材料をプルする(引き寄せる)メカニズムを調べるのに、どうやら1品種だけ取り出して考察してもよいことが分かりました。そこでもう一…

バッファ・マネジメントについて(3)

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「バッファ・マネジメントについて(2)」の続きです。 では、ゴールドラットの「ザ・クリスタルボール」 ザ・クリスタルボール作者: エリヤフ・ゴールドラット,岸良裕司,三本木亮出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2009/11/13メディア: 単行本購入: …

バッファ・マネジメントについて(2)

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自分の理解していることを書き出しながら、考察を進めて行きたいと思います。 ここで考えるバッファ・マネジメントというのはいわゆる製品在庫の管理方法です。工場で完成したさまざまな製品が倉庫に納められています。このうちどれかはヒットして非常に売れ…

バッファ・マネジメントについて(1)

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台湾国立交通大学の張永佳博士(Dr. Jasmine Chang)の論文「Analysis of Demand Patterns on Demand-Pull replenishment Application(需要プル補充適用における需要パターンの解析)」を読んであれこれ考えているうちにゴールドラットの「ザ・クリスタルボ…

ゴールドラット博士逝去

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TOC(Theory of constraint:制約理論)や小説「ザ・ゴール」で有名な経営コンサルタント、エリヤフ・ゴールドラット博士が6月11日に亡くなったという記事を日経ビジネス・オンラインの中に見つけた。それほど高齢ではなかったはず、と思いつつ記事を読む…

ザ・クリスタルボール ゴールドラット

ザ・クリスタルボール作者: エリヤフ・ゴールドラット,岸良裕司,三本木亮出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2009/11/13メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 70回この商品を含むブログ (46件) を見る 日曜日に図書館から借りてきて、昨日の出張の電車…

生産ラインの制御政策

「生産ラインの最適制御――大野 勝久」からの抜粋です。 2.生産ラインの制御政策 多品種を生産する多工程生産ラインにおける制御政策としては、様々なものが論じられてきた。まず初めに、単一品種多工程生産ラインにおける制御政策あるいは管理方式をBuzaco…

DBRの効果を示すモデル(4)

「DBRの効果を示すモデル(3)」の続きです。 今までの結果をまとめ、そこから分かったことを記します。例として用いたのは以下のような4つの工程からなる工場でした。そして3番目の工程がボトルネック工程でした。 図1 そして、この工場に対して3つ…

DBRの効果を示すモデル(3)

「DBRの効果を示すモデル(2)」「閉鎖型ネットワーク内のステーションからの出発過程(3)」の続きです。 「DBRの効果を示すモデル(2)」の最後で課題となっていた下図の 図10 閉鎖型ジャクソンネットワークのステーション2からの出発過程の2…

DBRの効果を示すモデル(2)

「DBRの効果を示すモデル(1)」の続きです。 まずはケース2について考えます。 図3:ケース2 これは 図5 のような閉鎖型ジャクソンネットワークに置き換えて平均値解析法で解析すれば、解析出来るのでした。これを実際に行なってみると、その結果は…

DBRの効果を示すモデル(1)

「プル生産システムのモデル化を目指して(8)」の続きです。 TOC(Theory Of Constraint:制約理論)におけるDBR(ドラム・バッファ・ロープ)はボトルネック・ステーションが、工場の最初の工程へのジョブ投入をプルする一種のプル方針と考えること…

プル生産システムのモデル化を目指して(9)

「プル生産システムのモデル化を目指して(8)」の続きです。 (ボトルネックのある場合) このグラフから以下のことが読み取れます。 ボトルネック・ステーションの利用率90%では、プッシュの時のX-Factoerは5.6ですが、プルの場合は3.6に短縮さ…

プル生産システムのモデル化を目指して(8)

「プル生産システムのモデル化を目指して(7)」の続きです。 それでは、もし、最後の装置4だけがボトルネックであって、他の3台の装置の処理時間が若干短かったら、プルによるスループット増大の効果はどの程度になるか調べてみましょう。このためには、…

プル生産システムのモデル化を目指して(7)

「プル生産システムのモデル化を目指して(5)」の続きです。 「(5)」では装置が4台直列に並んだ生産ライン 図1 においてプッシュで運用した場合とプルで運用した場合の利用率とX-Factoer の関係を比較し、プッシュの場合は ・・・・・(5) プルの場…

プル生産システムのモデル化を目指して(6)

「プル生産システムのモデル化を目指して(5)」の続きです。 「(5)」では装置が4台直列に並んだ生産ラインについてプル方針の場合の利用率とX-Factor、の関係を求めました。ここではこれを少し拡張して、装置が台直列に並んだ場合のプル方針下における…

プル生産システムのモデル化を目指して(5)

「プル生産システムのモデル化を目指して(4)」の続きです。 ネットワーク内にジョブが個あるとします。装置1にジョブが到着する際、[到着定理]から装置1で処理中または待っているジョブ数の平均値は ・・・・・(19) になります。今、処理中のジョブ…

プル生産システムのモデル化を目指して(4)

「プル生産システムのモデル化を目指して(3)」の続きです。 「閉鎖型待ち行列ネットワークの到着定理(8)」で明らかになった到着定理 到着定理 ネットワーク全体にジョブがS個あるとして、ある特定のステーションにジョブが到着する時のシステム全体の…

プル生産システムのモデル化を目指して(3)

「プル生産システムのモデル化を目指して(2)」の続きです。まだまだ整理されていません・・・・。 ORWikiの到着定理では PASTA(Poisson arrivals see time averages)のネットワーク版である. と書かれているが、PASTAはポアソン到着でなければ成…

プル生産システムのモデル化を目指して(2)

「プル生産システムのモデル化を目指して(1)」の続きです。整理されていない考察が続きます・・・・。 さて、「(1)」で示した生産ラインにおいてプッシュ方針で運用した場合の利用率とX-Factoerの関係は以下のように計算出来る。 「ジャクソン・ネット…

プル生産システムのモデル化を目指して(1)

「短寿命市場環境と短サイクルタイム(4)]」において DBRの方策は一種のプル方針であるが、プルの効果を数学的モデルで示すことは出来ないか? これは恐らくMVA(平均値解析法)を用いるのだろう。 と書いた。実はこれを進めていく上で困難にぶち当…

短寿命市場環境と短サイクルタイム(4)

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「(3)」の最後で しかしより良いのは、スループットの減少をなるべく少なくしながらWIPを減らす方策を検討することだろう。 と書いた。 ここから話をDBR(ドラム・バッファ・ロープ手法)につなぐことは出来る。すなわち、 工場全体のスループット…

短寿命市場環境と短サイクルタイム(3)

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「短寿命市場環境と短サイクルタイム」「(2)」で述べたように、短寿命市場環境ではサイクルタイムを短縮することが(「ザ・ゴール」でいう意味での)スループット向上に大きく寄与し、さらに在庫縮小にも寄与するのであった。では、サイクルタイム短縮の…