「サイバネティックス」という本の「第3章 時系列、情報および通信」(13)

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次に第3章の記述は濾波の理論に進みますが、私にはこれが予測の理論より難解です。

 (3.34)のような時系列の場合の濾波の問題は、予測の問題と密接な関係がある。通報と雑音の和を

(3.89)    m(t)+n(t)=\Bigint_0^{\infty}K(\tau)d\xi(t-\tau,\gamma)

なる形とし、通報を

(3.90)    m(t)=\Bigint_{-\infty}^{\infty}Q(\tau)d\xi(t-\tau,\gamma)+\Bigint_{-\infty}^{\infty}R(\tau)d\xi(t-\tau,\delta)

の形で表わそう。

もう、ここで私はひっかかってしまいます。(3.89)は分かるのですが、(3.90)におけるQ(\tau)R(\tau)が何なのか分からないのです。それで、途中の計算は飛ばして結論のところだけを引用します。

m(t+a)の“最良の”予測の表示を与えるための、m(t)+n(t)に対する演算子は、周波数の尺度であらわせば、

(3.913)   \frac{1}{2\pi}k(\omega)}\Bigint_a^{\infty}e^{-i{\omega}(t-a)}dt\Bigint_{-\infty}^{\infty}\frac{\Phi_{11}(u)+\Phi_{21}(u)}{k(u)}e^{iut}du

なることがわかる。
 この演算子は、電気技術者に濾波器として知られている特性をもった演算子である。


私はボンヤリと、(3.913)は「(12)」の(3.88)に似ているな、と思うばかりです。


次の話は情報伝達速度の話ですが、これも私にはさっぱり分かりません。

 ブラウン運動から導かれる通報と雑音に関連して、興味のあるもう一つの問題は情報の伝達速度のことである。


この結論は以下の個所のようです。

今、A\rightar\inftyとすると(3.921)は

(3.922)   \frac{1}{2\pi}\Bigint_{-\infty}^{\infty}du\log_2\frac{\left|\Bigint_{-\infty}^{\infty}M(\tau)\exp(iu\tau)d\tau\right|^2+\left|\Bigint_{-\infty}^{\infty}N(\tau)\exp(iu\tau)d\tau\right|^2}{\left|\Bigint_{-\infty}^{\infty}N(\tau)\exp(iu\tau)d\tau\right|^2

に近づく。これは、この場合の情報伝達量として著者とシャノンがすでに得ていた結果そのものである。

私にはこの式を解説する能力がありません。


第3章の残りは、

  • 多重時系列についての概論
  • 離散的時系列の場合の予測と濾波と情報伝達速度
  • 量子力学の検討

となっています。
多重時系列については

これこそ経済学、気象学などにひじょうに重要なものである。毎日毎日つくられるアメリカ合衆国の完全な天気図は、このような時系列をなしている。

という記述だけを紹介致します。
離散的時系列の場合の予測と濾波と情報伝達速度については紹介を省略します。
最後の、量子力学の検討については次回に読解した内容をご紹介します。


「サイバネティックス」という本の「第3章 時系列、情報および通信」(14)」に続きます。