「サイバネティックス」という本の「第3章 時系列、情報および通信」(12)
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このようにいろいろ分からない点がありますが、どうやらを予測するにはに線形演算子をほどこせばよいようです。それではこの演算子はどのように求められるのでしょうか? その答が前回も引用した(3.88)
(3.88)を得る。これは最良予測の演算子を周波数の形で表わしたものである。
のようです。(3.88)に登場するは、以下の意味合いを持ちます。
予測の演算子をで表わします。すなわち
- ・・・・・(28)
とします。この演算子にの代わりにを入力すると、これは線形演算子の性質なのですが、入力に比例した出力の関数を得ることになります。その入力と出力の比がです。すなわち
- ・・・・・(29)
です。この比例係数はの関数です。は本質的に正弦波でありはその角周波数です。よっては予測の線形演算子の周波数特性を表したものと考えることが出来ます。つまり、の周波数特性を持つような線形演算子を求めればそれによって予測が出来ますし、電気回路で考えればの周波数特性を持つような回路を製作すれば、その回路にを入力すると出力にの最適予測値が現れることになります。(3.88)の最左辺と最右辺だけを取り出して書き直してみます。
- ・・・・・(30)
この式の右辺を見ますと、が分かればを計算することが出来ます。ではは何かと思って前のほうを読んでいくと、これがのフーリエ変換であることが分かります。
フーリエ変換を使って、
(3.68)とおこう。がわかればがわかるし、逆にがわかればがわかる。
そこでがわかればを求めることが出来ることが分かります。しかしはどうやって求めるのでしょうか? 観測者が知っているのは
- ・・・・・(26)
の現在、つまり時刻、までの値だけです。ここからを求める必要があります。私にはこの求め方が分かりません。これから考えてみます。
まず、「「サイバネティックス」という本の「第3章 時系列、情報および通信」(9)」の式(24)
- ・・・・・(24)
で示したエルゴード定理を利用します。ここでは任意の汎関数でした。式(24)から
- ・・・・・(29)
また、第3章にはこのような式もあります。
(3.32)
ここで「(11)」の
- の時、・・・・・(27)
という条件を考慮すれば(3.32)は
- ・・・・・(30)
と書き直すことが出来ます。さらに(26)を考慮すると
- ・・・・・(31)
(31)で、と置くと
- ・・・・・(32)
これを(29)に代入すると
- ・・・・・(33)
さらに、証明は示されていませんが
(3.69)
とありますので、結局
- ・・・・・(34)
となります。私の想像では、ここからを求めることが出来るのではないか、と見当をつけているのですが、ここからどう進めたらよいか分かりません。もう少しフーリエ変換を勉強する必要がありそうです。
時系列の予測については、こなれていませんが、ここまでにします。