閉鎖型待ち行列ネットワークの到着定理(5)
「閉鎖型待ち行列ネットワークの到着定理(4)」の続きです。
次に下図
のような生産ラインを考えます。そして装置1へジョブが到着した時の、ネットワーク全体の状態(到着するジョブを除く)の確率分布を調べます。今回の場合は、装置2からも装置3からも装置1へジョブが到着します。
まず、ネットワーク内にジョブが1個だけある場合の状態遷移図です。これは以下のようになります。
次に、ネットワーク内にジョブが2個ある場合の状態遷移図は以下のようになります。
さて、今回の場合、比較するのは図18における
- ・・・・・(21)
と図17における
- ・・・・・(22)
になります。式(21)を以下の2つに分解します。
- ・・・・・(23)
- ・・・・・(24)
(23)と(24)がそれぞれ(22)に等しければ、(21)も(22)に等しいことになるでしょう。
まず(23)については、図18の緑の矢印における平衡関係から
と
よって
- ・・・・・(25)
- ・・・・・(26)
(25)と(26)を(23)に代入して
-
- ・・・・・(27)
次に(24)については、図18の青の矢印における平衡関係から
と
よって
- ・・・・・(28)
- ・・・・・(29)
(28)と(29)を(24)に代入して
-
- ・・・・・(30)
さらに(22)については、図17における平衡関係から
と
から
- ・・・・・(31)
- ・・・・・(32)
(31)と(32)を(22)に代入して
- ・・・・・(33)
(27)と(30)と(33)が等しい比であることが判明したので
-
- ・・・・・(34)
ここまで確かめたところで、一般の閉鎖型ジャクソンネットワークについて到着定理の証明の検討を始めます。
「閉鎖型待ち行列ネットワークの到着定理(6)」に続きます。