ほぼ等間隔の系列の重ね合せ系列の2乗変動係数(2)

ほぼ等間隔の系列の重ね合せ系列の2乗変動係数(1)」の続きです。


今度は「ほぼ等間隔の系列の重ね合せ系列の2乗変動係数(1)」のやり方を拡張して、m個のほぼ等間隔の系列を重ね合わせて出来た系列の2乗変動係数を求めてみます。
系列1でイベントの起きた時刻のうち1つをt=0と置いて、[0,1]の間で次に起きるイベントまでの間隔を考えてみます。これらはm-1個の系列のいずれかに属するイベントであり、その中で最も早く発生したものです。つまりt=0との間隔が最小のものです。m-1個の系列をどれか1つ選んだ時、その系列のイベントが[0,1]で発生する時刻の分布は

  • f(t)=1

であり、その分布関数

  • F(t)=t・・・・・(1)

でした。[0,1]の間で次に起きるイベントまでの間隔を示す確率変数をT、その分布関数G(t)とすると、「min(X,Y)の確率密度関数」の式(1)を参考にして、

  • G(t)=1-[1-F(t)]^{m-1}・・・・・(5)

が成り立ちます。この両辺をt微分すれば

  • g(t)=(m-1)[1-F(t)]^{m-2}f(t)・・・・・(6)

です。ただし、g(t)T確率密度関数であり、

  • g(t)=\frac{dG}{dt}

です。(6)に(1)を代入すると

  • g(t)=(m-1)(1-t)^{m-2}・・・・・(7)

よって

  • E(T)=\Bigint_0^1tg(t)dt=(m-1)\Bigint_0^1t(1-t)^{m-2}dt・・・・・(8)

ここで

  • x=1-t・・・・・(9)

と置くと(8)の右辺は

  • (m-1)\Bigint_0^1t(1-t)^{m-2}dt=(m-1)\Bigint_1^0(1-x)x^{m-2}(-dx)=(m-1)\Bigint_0^1(1-x)x^{m-2}dx
    • =(m-1)\Bigint_0^1(x^{m-2}-x^{m-1})dx=(m-1)\left[\frac{x^{m-1}}{m-1}-\frac{x^m}{m}\right]_0^1
    • =(m-1)(\frac{1}{m-1}-\frac{1}{m})=1-\frac{m-1}{m}=\frac{1}{m}

よって

  • E(T)=\frac{1}{m}・・・・・(10)

次に

  • E(T^2)=\Bigint_0^1t^2g(t)dt=(m-1)\Bigint_0^1t^2(1-t)^{m-2}dt・・・・・(11)

ここで(9)を用いれば(11)の右辺は

  • (m-1)\Bigint_0^1t^2(1-t)^{m-2}dt=(m-1)\Bigint_0^1(1-x)^2x^{m-2}dx=(m-1)\Bigint_0^1(x^{m-2}-2x^{m-1}+x^m)dx
    • =(m-1)\left[\frac{x^{m-1}}{m-1}-2\frac{x^m}{m}+\frac{x^{m+1}}{m+1}\right]_0^1=(m-1)\left(\frac{1}{m-1}-\frac{2}{m}+\frac{1}{m+1}\right)
    • =1-\frac{2(m-1)}{m}+\frac{m-1}{m+1}=\frac{m(m+1)-2(m-1)(m+1)+(m-1)m}{m(m+1)}=\frac{2}{m(m+1)}

よって

  • E(T^2)=\frac{2}{m(m+1)}・・・・・(12)

よって変動V(t)

  • V(t)=E(T^2)-E(T)^2=\frac{2}{m(m+1)}-\frac{1}{m^2}=\frac{2m-(m+1)}{m^2(m+1)}=\frac{m-1}{m^2(m+1)}

よって2乗変動係数c(m)^2

  • c(m)^2=\frac{V(T)}{E(T)^2}=\frac{m-1}{m^2(m+1)}{\cdot}m^2=\frac{m-1}{m+1}

よって

  • c(m)^2=\frac{m-1}{m+1}・・・・・(13)

と求めることが出来ます。ここでc(m)mm個の系列の重ね合せであることを表しています。