1.5.2.待ち行列ネットワークとシミュレーション:Quantitative System Performance

1.5.1.待ち行列ネットワーク・モデルと待ち行列の一般ネットワーク」の続きです。

1.5.2.待ち行列ネットワークとシミュレーション


 シミュレーションの主要な強みはその柔軟性である。シミュレーション可能な振舞についてほとんど制限がないので、コンピュータ・システムを任意の詳細さで表現することが出来る。このスペクトラムの理論的な極端には待ち行列のネットワークを評価するためにシミュレーションを用いることが位置する。具体的な極端では、ベンチマーク実験を実行することは、ある意味システムをそれ自身の詳細シミュレーション・モデルとして用いることである。
 シミュレーション・モデル化の主要な弱点はそれが比較的高価であることである。シミュレーション・モデルは、定義することに複雑なコンピュータ・プログラムを書きデバッグすることを含むので、定義することは高価である。(しかし、コンピュータ・システム・モデル化の特定の領域ではこの過程は、モデル記述からシミュレーション・プログラムを生成するパッケージによって自動化された。) それらのパラメータ値決定は、高度に詳細なモデルは多数のパラメータを意味しているので高価である可能性がある。(待ち行列ネットワーク・モデルが必要とする少数のパラメータを得ることでさえ、ささいな仕事ではないことを見ることになるだろう。) 最後に、それらの評価は、特にもし狭い信頼区間を望むならば、シミュレーションの実行にかなりの計算リソースを必要とするので高価である。
 この本の信条は、それについては多くの支持する証拠があるのであるが、待ち行列ネットワーク・モデルはコンピュータ・システムの設計と解析の応用のさまざまな範囲において適切な程度の精度を提供するというものである。こんなわけで、シミュレーションについての我々の主要な興味は、主として解析的であるスタディの中の若干のサブモデルを評価する手段としての興味である。この技術はハイブリッド・モデル化として知られているが、可能なところに解析を用いたいという願いから来ている。というのはシミュレーションを用いた待ち行列の単純なネットワークを評価するコストは、解析を用いた同じモデルを評価するコストより何桁も大きいからである。


1.5.3.待ち行列ネットワーク・モデルと待ち行列理論」に続きます。