7.3.2.作業負荷増加のモデル化:Quantitative System Performance

7.3.1.単一クラス・モデルとの対照」の続きです。(目次はこちら

7.3.2.作業負荷増加のモデル化


 ここでスタディしたシステムはTOPS-10・OS上で特定目的ソフトウェア・パッケージを走らせるDigital Equipment Corporation PFP-10であった。スタディの目的はオンライン・ユーザ数が増加した時、そして同時にメモリに滞在するユーザ数が変わった時の応答時間を予測することであった。リモート端末エミュレータ(RTE)を用いたベンチマーキングは可能であったが、待ち行列ネットワーク・モデル化が採用された。この決定は、大量のシステム構成についての予測が要求されたことと、粗い(例えば30%)の精度のタイムリーな結果が、ベンチマーキングを用いて可能な、より精度が高いがかなり時間を費やす結果よりも望ましかったという事実によって動機付けられた。
 システム作業負荷は、主にリソース使用の類似に基づいて、3つの要素に分けられた。最初の要素は、ジョブを走らせているユーザから成り、2番目は(印刷やプロッタ出力のような)システム・ユーティリティ機能を実行しているユーザから、3番目はエディトしているユーザから成る。全てのクラスは端末作業負荷として表現された。これら3つのクラスの処理要求時間は、(人工のものであるが)代表のジョブストリームを含むRTE実験をモニタすることによって得られた。この基準モデルは、モデル出力をRTE実験の間に採取した測定データと比較することで有効性が確認された。一致度は高かったので、スタディは予測フェーズに進んだ。
 作業負荷増加の応答時間への影響を見積もるために、さまざまなユーザ個体数の増加を反映するように3つのクラスの負荷強度を増加させた。次にモデルが評価され、性能予測を得た。いくつかの特定のユーザ個体数について、モデルの精度を評価するために追加のRTE実験を実行した。表7.2は2つのユーザ個体数についてモデル結果をRTE実験の間に得られた結果と比較している。極端に単純なモデルを使用したにもかかわらず精度はまあまあよい。(ユーザ個体数が増加するにつれて応答時間は改善する。というのはモデル内で表現され、実際の構成で実装されたメインメモリ・サイズが増加するからである。このメモリの増加はスワップの減少をもたらす。スワッピングのモデル化のためのテクニックは第9章で提示される。)

  • 表7.2 性能予測