7.4.1.オープン・モデルの解法(1):Quantitative System Performance
7.4.1.オープン・モデルの解法
をモデル内のクラスの数としよう。個々のクラスは到着レートを持つオープン・クラスである。で到着レートのベクトルを示す。オープン・モデルのクラスのスループットは入力仕様の一部であるので、これらのモデルの解法は非常に単純である。以下に興味のある性能尺度を計算する諸公式を挙げる。
- 処理キャパシティ
- もしシステムが長期間に渡る作業負荷にさらされている場合に与えられた負荷を処理出来るならば、そのシステムはそれを処理する充分なキャパシティを持っていると言われる。複数クラス・モデルについては、以下の不等式を満足すれば充分なキャパシティが存在する。
- これは、全てのクラスの負荷の組合せの結果としてどのサービスセンターも飽和していないことを単純に保証している。以下の導出ではこの不等式が満足されているものと仮定する。
- スループット
- 強制フローの法則によってクラスのセンターでのスループットはの関数として
- 稼動率
- 稼動率の法則から
- 滞在時間
- 単一クラス・モデルでのように、滞在時間は以下で与えられる。
- ディレイ・センターでは
- キューイング・センターでは
- ただしはセンターで到着しつつあるクラス客が見た客の数の平均である。この公式の背景にある直感は単一クラス・モデルについての直感と類似している。ディレイ・センターについては、ジョブの滞在時間は全面的にそこでのその処理要求時間、から成る。キューイング・センターについての公式の説明は使用するスケジューリング規律に依存する。FCFSセンターについては、滞在時間は単純に、到着するジョブ自身の処理時間と、到着時点ですでに存在するジョブの処理時間、の合計である。というのは、FCFSセンターでは全てのクラスは各々の訪問において同じ処理時間を持たなければならないからである。PSセンターについては、滞在時間は同じキュー内で競合している他のジョブのせいで処理レートが悪化したのを表現する因子、で「膨張させた」基本処理要求時間、である。LCFSセンターについては式は単純で直感的な説明を持たないが、それにもかかわらず式は有効である。
- 分離可能ネットワークを構築するのに行った仮定の意味するところは、到着する客が見た待ち行列長は平均で時間平均待ち行列に等しいはずであるということである。よって、キューイング・センターについて
- ただしはセンターでの時間平均待ち行列長(全てのクラスに渡っての合計)である。リトルの法則を適用して、
- 上の式の右辺は基本処理要求時間についてのみ特定のクラスに依存していることに今、気づくであろう。よって、はに等しくなければならず、となる。上記の式に代入して書き直すと、以下のようになる。
- (キューイング・センター)
- 待ち行列長
- 上記の滞在時間の式にリトルの法則を適用して、クラスのセンターでの待ち行列長、、は
- ディレイ・センターでは
- キューイング・センターでは
「7.4.1.オープン・モデルの解法(2)」に続きます。